7月16日(土)
【クリチーバ】パラナ州都で去る六月十八、十九日の二日間、約六万人を集めて「第十五回移民祭り」が開催された。全伯有数規模の日本文化を紹介する祭りだ。主催したクリチーバ日伯文化援護協会の山脇譲二会長(63、三世)は「毎年来場者が増えている。これを起爆剤に文協の経営好転につなげたい」と考えている。地域独自の事業を模索する百年祭へ向けて、経営刷新を図り、青年部の活性化に取り組む意気込みを聞いてみた。
移民祭り会場は、セントロのプラッサ・ド・ジャポン(日本広場)。「今年は特別に人が多かった。会場がいっぱいで歩けないぐらい」と評議委員議長の山田健昇さん(62、二世)は説明する。焼きソバ、かりんとう、饅頭、寿司、鉄板焼きなどの日本食が並ぶ。日本舞踊や和太鼓が披露され、市の観光カレンダーにも入っている。
八割は非日系人で大半は若者。「盆踊りも最初は日本人しか踊らなかったけど、今じゃガイジンから『もっとやってくれ』とリクエストがあるぐらい」と山田さんは微笑む。九月には同様の春祭りも行われる。
山脇会長は「毎月の会計は赤字。それを移民祭りと春祭りの黒字で埋めている状態なんです。大きなイベントをやっても、その収益が、施設を良くするなどの会に残る形になっていない。新しいことを考えなければならない」という。
目下の課題は会員減少だ。「会費を納める人が少なくなり経営が悪化している」。六十五歳以上は無料になっており、有料会員の一世は全五百七十人会員中一割にすぎない。すでに二~三世中心の構成になっているが経営は難しい。
最も多い時期は一九九〇年頃で千二百人もの会員がいたという。「デカセギの影響ですごく減りました」と山田さん。
ウベラーバの文協本部には会館(八百平米)、野球場、テニスコート七面、体育館、プール、ゲートボール・コート四面、卓球場、カラオケバー、子ども遊戯場など充実した設備を誇る。従業員数は三十人を数えるので経費も安くはない。
セントロには、生徒数百六十人を誇る日本語モデル校がある。教師は十七人おり、うち一人は非日系のデボラ・ザマタロさんだ。ここで日語学習を始め、今では教師になった。また、約六十人の大学生が寝泊りする学生寮も併設されている。事務所、カラオケ教室、日本語図書館もある。
山田さんによれば、同市には約三万人(八千家族)の日系人がいる。「我々も頑張っているが、なかなか来てくれない」。
山脇会長は今年一月の定期総会で就任した。「新しいことを考えなくては。みんなに提案を聞いているところです。青年会を活性化させ、次代を育てなくてはいけない」と意気込む。法人会員を増やして赤字分を補い、その間に根本的な対策を練るという。
「クリチーバの百周年祭典委員会結成を、いろいろな団体に呼びかけています」。北パラナや全伯の祭典協会との関係を問うと、「うちは地元の経営だけでも困難。お金はあてにしないでほしい。クリチーバは独自の祭典をやります」という。「芸能やスポーツを通して、日本人の顔、魂を少しでも残したいですから」。