7月19日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】財務省経済スタッフは十六日、政治危機が経済の根幹を揺るがすには至っていないが、経済に影響を及ぼし、成長の妨げとなり始めたことを明らかにした。財務省が経済活性化に挑戦しても、議会の混乱で景気回復は停止状態にあるとスタッフが不満を漏らした。最近の政局では、期待された経済成長はゼロになると財務省は嘆く。税制改革で政府の無為無策を見せつけ、官民合資計画(PPPs)は机上の空論に終わり、何ら実施されることなく時間は空しく過ぎ去っている。
財務省は経済の活性化と経済成長に向け、政策の立案と具体化、基準化に日夜執心している。しかし、政治の麻痺が関係者を失望させていると悲嘆した。政治危機は経済の発展を停滞させ、二〇〇五年の国内総生産(GDP)を大きく落ち込ませるとみられる。
ブラジルは政治機能の停止で、新たな失われた十年を迎えることになりそうだ。官民合資計画は議会で承認されたが、まだ同計画を補足する保障基金法が必要である。民間の投資家がインフラへ投資したのに、見込まれた配当が得られない場合の保障について、政府は責任を取る必要がある。
零細企業保護法で税制恩典が与えられることになったが、SEBRAE(零細小企業支援サービス機関)提出の免税案が、長い間審議されず保留となっている。他に棚ざらしとなっている重要法案に、一般企業が円滑に営業活動を行うための独占禁止法改正案がある。
経済発展に向けたプロジェクトは数々草案された。しかし、議会は政治危機のため審理も採決も実施する雰囲気にない。中央銀行は総裁が不正送金で検察庁の捜査対象となっているため、生殺し状態にある。中銀総裁交代による政府系金融機関の休眠状態の可能性が懸念されている。同時に内閣改造が行われるなら、政府機能への影響も憂慮されると財務省はみる。
ジェフェルソン旋風に始まった政治危機は汚職の腫瘍摘出で、行政機能の停止ばかりでなく議会の通常審理も停滞させ、国家機能の空転や経済の停止にも及ぶと野党はいう。政治は六十日間麻痺状態にある。CPIも十四日から、雰囲気が重苦しくなった。
せっかくの内閣改造も徒労に終わりそうだと、野党はみる。入閣した面々は、危機克服には技量不足だとしている。野党は政府の裏金財政にくさびを打ち込むため、政治改革の荒療治を試みる考えだ。特に裏金で私腹を肥やした連立与党へメスを入れ、連立を解体し与党の無力化を図るらしい。頼りのブラジル民主運動党(PMDB)も一枚岩ではない。
政府が進める緊急経済改革案のうち、税制改革は地方自治体の合意が得られず座礁している。地方自治体債務の分割決済案は、会社更生法改革案が実現しないと宙に浮く。同法は表決されたが、下院特別委員会で最終検討を行うとしたまま棚上げとなっている。
投資基準に関する監督官庁の規制法案は、下院で〇四年七月から眠っている。上下水道整備に向けた基礎衛生法案は根回し済みだが、表決予定なし。再保険院の民営化や中銀の独立権限法、独占禁止法改正案など活性化案は数々あるが、議会はどこ吹く風である。