7月19日(火)
パウリスタ大通りが戦場と化した夜――。リベルタドーレス杯でサンパウロが優勝を決めた十四日夜から翌日未明にかけて、サンパウロ市内各地でファンによる暴動などが相次いだ。試合前後の様々な混乱を目の当りにした本紙記者が、一部ファンの暴走ぶりを報告する。
午後六時ごろに中央区セー広場近くから出発するバスには、次から次へとファンが無銭乗車し、事実上の「バスジャック」状態。競技場近くでも同様のバスが数多く見られ、バスの天井に這い上がり、気勢を上げるファンも。
大きな混乱はまず、競技場周辺で起こった。早々に約七万枚の入場券が売り切れたにも関わらず、不正に入場しようとするファンが大挙して入場口に押しかけ、警備に当たる警官隊と衝突を繰り広げた。
試合終了後には、優勝の喜びに加え、アルコールで勢いを付けたファンらがパウリスタ大通りに繰り出さんと、次から次へとバスやロタソンを占拠。本来の行き先が次々に「予約済み」に変えられていく。
同大通りでは、試合中からすでに多くのファンが集まっていたが、終了後に合流したファンら約一万五千人が、パライーゾ駅からコンソラソン駅にかけての広範囲でバールを占拠してビールを強奪したり、メトロの入り口やバンカなどを破壊。午前三時近くになっても占拠されたバールに警官隊が催涙弾を打ち込むなど、イラクさながらの光景が展開された。
当局のまとめによると行方不明になったバス三十一台、破壊された公衆電話四十九台、メトロの駅の被害総額二〇万レアル。十五日に視察したセーラ市長ら市関係者は、同大通りでサッカーファンが集まって祝うことを禁ずることも検討する方針だ。