「新しい歴史教科書をつくる会」という団体がある。大学の教授や著名な学者・評論家を始め作家などが組織したものであり、正しい日本の歴史を教えたいと願うグループである。戦後の教科書には自虐史観に満ちたのがあり、特に近現代史の記述には問題とされるところが多い。従軍慰安婦の強制連行など適切さを
欠く教科書もある▼さすがに今年からは、こうした記述が削除されたけれども、編集の方針として革新系が多数を占めている事実は否定できない。こうした偏執な教科書の世界に殴り込こみをかけたのが「つくる会」と云っていい。このために初めは保守派や右翼視される誤解もあったし、扶桑社から販売されると営業妨害されることもあり、教科書を選定する各地の教育委員会への圧力もあった▼このような妨害工作もあって「つくる会」の歴史教科書の販売は低迷し、採用を決めた
学校は少ない。しかし「つくる会」の説明や教育委員らが教科書を実際に読んでの結果か今年からは状況が大いに変わってきた。栃木県大田原市の教育委員会は全会一致で「つくる会」の歴史教科書を採択すると決定したのである。これは市町村では初めてであり、この影響力は大きい▼教科書ではないが、千葉県船橋市図書館の女性司書が、「つくる会」メンバーの著作品を187冊廃棄した事件を担当した最高裁は、革新系と見られる司書と図書館敗訴の判断を示している。ここにも見られる革新を称する側からの「表現の自由」への侵犯を重く見たい。(遯)
05/7/19