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武士に憧れ気合十分=南米剣道選手権・居合道昇段試験

2005年7月21日(木)

 南米剣道連盟(玉置正会長)は十六日、アグア・ブランカ区のベイビー・バリオーニ体育館で南米選手権大会および居合道、剣道の昇段試験を行い、南米五カ国から約六十人の剣士が集った。張り詰めた体育館の空気を裂くように気合の声と竹刀の音が響き、約百人の観客は熱い戦いにくぎ付けとなった。
 個人戦はトーナメント方式で行なわれ、出場者六十人中、昨年に引き続きサンパウロ市の佐藤丈司さん(32、三世)が優勝した。六段の佐藤さんは九歳から文協で剣道を習っている。「体を引きしめ、精神も育てられる武道だと思って」と始めたきっかけを話す。日本の警視庁で一年間剣道の研修もしていた。
 「剣道だけの生活でした。大変だったけど本当に鍛えられた」。
 国対決の団体戦を制したのもブラジル。剣道の歴史が圧倒的に長く、厚い選手層がある。二位はエクアドルだった。剣道が伝わってまだ六年。指導者の工藤元秀さは、「彼らはこの大会に出る力がなくても、上手な人を見たいという熱意で来ている」と話した。
 午前中行なわれた居合道の昇段試験は一級から三段まで四十九人が挑戦。公式に試験が受けられる機会はめったにないとあって、順番を待つ間、体育館の外で型を確認する受験者の姿が見られた。
 試験後は、日本から来伯した日本剣道連盟の小田克夫居合道藩士八段が実際にデモンストレーションを行い、注意点や練習方法などをアドバイス。剣士たちは日本語の説明にも頷きながら真剣に耳を傾けた。さらに感激した様子で頭を下げて礼をする姿もあった。
 ブラジル以外の国からの参加者では非日系人が大多数を占めていたが、体育館に入るときと出るときのお辞儀や「はい」という返事が自然とされており、礼節の精神も浸透していることが感じられた。
 昨年も来伯した全日本剣道連盟の伊藤知治さん(剣道・居合道教師八段)は、「ここの人たちは剣道を始めるきっかけが映画やアニメからだとしても、『武士』というものへの憧れがはっきりしている分だけ目的意識、向上意識が強い。剣道だけでなく居合道も学び精神面も学ぶ人も多いのは素晴らしい」と話した。