戦前にコロニアで作成された、「読み方」の教科書『日本語讀本』。『移民四十年史』で、アンドウ・ゼンパチ(旧日伯新聞編集長)は、文学者古野菊生が執筆。自由主義的な色彩が強いと内外から批判を浴びた、という内容を書いている。
「この教科書は、日本政府から派遣された職員の元でつくられたもの。古野が関わっていたとしても、責任者ではなかった」。教科書の変遷を研究中の末永サンドラ輝美さんがこのほど、新たな説を導き出したそうだ。
末永さんは日本で、修士論文を作成している。戦前の新聞などを調査。アンドウが古野を持ち上げすぎたと結論付けた。
人文研の鈴木正威さんは「過去の文献を吟味する姿勢に、私自身、反省させられた」と話す。医師や弁護士を志す日系人は、少なくない。移民史研究家も、生まれてくればよいが。 (古)
05/7/21