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外国人患者歓迎します=サンパウロ市=本格的PR開始=治療費など格安で年々増加=歯科、心臓、形成外科に定評

2005年7月22日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】サンパウロ市の観光業界は今、新分野での外国人観光客の誘致作戦に取り組んでいる。病気の治療、療養、リハビリを織り込んだ観光ツアーだ。サンパウロ市議会が観光事業推進策として発案したもので、市観光局が、本格的PRを開始した。当局によると、外国人治療客の正確な数字の統計はないが、ブラジルの医学が世界的レベルに達していることと、治療費や入院費がほかの国に比べて三分の一から十分の一と安いことから、年々増加傾向にあるという。これを単に治療に終わらせず、付添いや家族に観光やレジャー、買い物を紹介していこうというもの。
 観光当局によると、二〇〇三年のブラジルへの外国人観光客は約四百七十万人で、そのうちの二万三千五百人が何らかの形で治療や手術を受けた。率にすると〇・五%と少ないが、〇一年が〇・一%だったことから上昇率は決して小さくない。五年後は倍増すると見ている。
 サンパウロ市観光局はこれを見越して、外国人のためにサンパウロ市内の主だった病院、療養施設、リハビリセンター、SPA(温泉)などの詳細をはじめ、付近のホテル、レジャー施設、ショッピングなどを紹介したパンフレットを作成して配布する。さらに委託を受けた旅行代理店は、病気治療を兼ねた全国二十二カ所のパック・ツアーを売り出し、付添いや家族が介護や病院訪問の寸暇をぬって観光できるミニ・ツアーなども紹介している。
 いっぽうでサンパウロ市のシリオ・リバネース病院をはじめとする国内八大病院の呼びかけで、保健省では専門分野での国内治療に関する国際医学学会の開催を検討中だ。
 市中病院の中には、年々増加する外国人患者に対し、当局に先がけサービスを心掛けているところもある。サンパウロ市心臓病院では、六年前までは外国人患者が一カ月二人程度だったが、現在では十人に増えている。同病院によると、患者はもとより付添いや家族の不安を解消したり気晴らしのため、市内各所やショッピングセンター、レジャー、タクシーのサービスや付近の教会を紹介するパンフレットを用意している。
 また、ジアソン病院では英語を話せる医師やスタッフを用意し、施設すべてでポ語、英語を両用している。同病院では医師との会話が治療の不安を取り除くのに不可決だとしている。これを解消することで、ヨーロッパの治療費の半額で済むブラジルの評価が再認識されるという。
 マナウス市の歯科では二年間に外国人患者が全体の一〇%にまで増加した。外国人は時間に制限があるため早朝治療が重要となる。そのためドイツから最新の精巧機器を輸入、通常一カ月かかるところを三十分で治療し、評判を呼んでいる。患者はアマゾンの森の中で歯が痛んだら手に負えぬとして治療にくるが、ヨーロッパの治療費の半額で済むことから、帰国前に再度来院するという。
 ブラジルは心臓外科と並び整形手術も定評がある。昨年全国での手術を受けた八十万人のうち二%が外国人だが、リオデジャネイロ市では外国人が占める率が高い。ある病院では一月の患者百八十人のうち四〇%が外国人だった、世界的観光地リオを観光して手術を受ける人が多い。そのため病院では空港の送迎はもとより、手術後もホテルに看護婦を常駐させて介護するなどのサービスをしている。このため、口コミで年々患者が増えている。最大の理由は費用が安いことだ。