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ジッコ監督、心の内語る=「ブラジルと日本の決勝は残酷」

2005年7月22日(金)

 先にドイツで行われたサッカーのコンフェデレーション杯で優勝したブラジル代表と予選リーグでの決勝進出をかけて激闘し、引き分けに持ち込んだ日本代表チームの指揮官ジッコ監督に高い評価が集まっている。リオの名門フラメンゴに二十年間在籍し、ブラジル代表として十回出場した五十二歳の元エースは、リオの家族と三カ月間暮らすのみで残りは日本の「もう一軒の我が家」で単身で過ごし、二つの「母国」をこよなく愛している。イスト・エ・誌では十七日付サイトでインタビューを掲載、ジッコの現在の心情を紹介している。以下は要点をまとめたもの。
 【現役時代、監督はやらないと言ってきたが?】
 今でもそう思っている。プレーヤーは体力を消耗するが、監督はそれ以上だ。しかし日本では鹿島に胸像が建つほど、日本のサッカー界とは切っても切れない絆がある。日本代表の監督就任は断れなかった。
 【ジッコ監督像は?】
 デモクラシーと信賞必罰。慣れないうちは戸惑ったようだ。第一戦で代表メンバー八人が無断で夜に外出したため、次の選考で代表から外し、周囲が驚いていた。外出が悪いのではなく、許可を得てなかったから罰を下したのだ。
 【W杯に進出を決めた実感は?】
 責任を果たした。監督としてのみではなく一個人として全うできたことが嬉しい。コンフェデレーション杯で実証したように、単に参加するのではなく、世界のどの代表とも互角に戦える自信がついた。
 【コンフェデレーション杯でブラジルと対戦した時の心情は?】
 決勝進出を賭けての重大な場面で、ブラジルの敵側にいるのは最悪の状態だ。試合前にブラジルのメンバーにブラジル国歌を一緒に歌うが、びっくりするなと言い、しかも歌い終わったら敵として勝ちにいくと言い切った。
 【ブラジル国歌斉唱は?】
 複雑だった。音楽が途中で切れなかったら感極まって泣いていただろう。
 【W杯でブラジルと日本が決勝になったら?】
 残酷の一言だ。夢にでも見たくない。
 【日本で困った事は?】
 生活様式を変えた。十時開店のため朝のカフェー(朝食)のパンは前夜に買っておく。午後十一時には全て止まる。電車もなく飛行場も閉鎖する。午前一時にタクシーで渋滞する。
 【食事は?】
 ブラジル食の米、フェイジョン、チーズが買える。電話一本で宅配してくれる。妻が来ても料理はしない。せっかく来たのに台所に居させる訳にはいかない。
 【言葉の問題は?】
 ほとんどが英語を話すので問題ない。私個人には鈴木という通訳がいる。私が日本語を覚えると友人の彼が職を失う(笑)。日本語は聞くことは少々分かるが早口だとサッパリ。読み書きも駄目、この年では頭に入らない。
 【日本人の対応は?】
 私のあだ名は神様だ。サッカーの神様だ。日本代表の監督になってからは「救い主」が加わった。どこにいってもスター扱いだ。握手、サイン、カメラ攻めで行動もままならない。外出する時は人込みのない時を選ぶ。さもなくば群衆が集まり混乱が起きて迷惑をかける。
 【日本での余暇は?】
 友人の家を訪問したりする習慣がない。サッカー関係者と外食したり、家の近くの公園を散歩する。ブラジルの映画、シアター・ショーがなつかしい。