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肉類輸出拡大に積極攻勢=輸入障壁や食習慣の違いと格闘

2005年7月22日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十三、十五日】ブラジルは今、肉類輸出の世界的リーダーに登りつめたが、さらに安定価格と市場、利益拡大に向けて積極的姿勢を示している。
 牛肉輸出協会ではフランスのパリで開催されている「フランスでのブラジル年」でPRしているが、十四日に行われたシラク大統領主催の戦勝祝賀パーティにシュラスコを振る舞った。六千人の招待客が三千人分のピカーニャ、三千杯のカイピリーニャを味わった。
 同協会では年内に六〇〇万レアルの予算で、世界各地のイベントでシュラスコを振る舞い、高品質のブラジル産牛肉をPRしていく。次回はマレーシアのクアランプールで二十八日から三十一日にかけて開かれる食品フェアーで、九月にはモスクワでのワールド・ラード展となっている。
 同協会によると、ブラジルの生鮮肉の輸出はロシア向けがダントツで、今年上半期で十六万トン強となり、次いでエジプトの十一万トンとなっている。これに対しEU圏全体で年間四十万トンしか及ばず、関税や輸入枠が障壁となっている。これが取り除ければ六〇%の増量が見込まれる。
 これはアメリカや日本の巨大消費国にも言えることだと指摘している。例えばフランスの場合、ブラジルからの輸出価格がトン当たり三千ドルから四千ドルなのに対し、国内価格は八千ドルと倍にはね上がっているとし、消費者のためにも輸入障壁を取り除くべきだと主張している。
 鶏肉は中国の需要が旺盛で活気を呈している。中国では年間二十万トンから三十万トンの需要があるが、ブラジルからは今年始めに輸入が解禁となったことで、年内八万トンから十万トンが見込まれている。中国内部で農村離れが顕著となり、二〇二〇年までに二億五千万人の農民が大都市に移住、鶏飼育農家が減少することから増々輸入に拍車がかかるとみられており、ブラジル鶏肉輸出協会は中国との関係強化に注力している。
 豚肉はロシア向けに頼っているのが現状だが、一大市場として中国を視野に入れている。しかし検疫が壁となり商談は歩み寄りを見せていない。ただ、香港向けに昨年、五万七千トン強を輸出したが、この大半が中国大陸に流れた公算が大きい。香港は中国の保税倉庫的役割を果しているからだ。
 だがこの先、香港への輸出は不透明な部分が多く、予測が立てにくいのが実状だ。豚肉については中国の慣習の違いも指摘されている。中国では農家で残飯などをえさに飼育されるため値段が安く、かつその場で殺して食べるのが習慣となっていることから、輸入品には抵抗があるとみられている。