日本では「北朝鮮のノドンが怖い」「核兵器製造に着手したらしい」と脅威論が賑やかだが、本当に怖いのは中国の軍事力であるのを見落としているようだ。昨年は中国の原子力潜水艦に領海侵犯されたし、海軍力を背景にした南シナ海における行動は、領土問題にまで発展してもいる。中国の軍備拡大路線は十七年も続き予算が連続して2ケタ増という急進ぶりである▼中国が進めるこうした軍拡方針への警戒論はあるが、残念ながら一般の人々にまでは浸透していない。今、中国が力を入れているのは海軍と空軍であり、とりわけ外洋進出を目的とする海軍の整備と質的向上を目指している。まだ空母はないらしいが、原潜を保有し新しい艦艇も投入されている。中国は原爆や大陸間弾道ミサイルを持っているし,これが極東の軍事バランスを崩しているのは否定できない▼米国防総省は今年の報告書で「中国の軍事力は周辺諸国の脅威」とし「軍事費は公表の2倍から3倍」と書いた。中国の発表だと「軍事予算は約三百億ドル」になっているが、実際には六百億ドルか九百億ドルだとしている。これは日本の専門家らも以前から指摘していることであり、目新しいことではないが、ここにも中国の曖昧さが見え隠れする▼報告書によれば中国は米国、ロシアに次ぐ世界第三位の軍事大国だとし、警戒感を強めている。勿論、中国はアメリカに厳しく抗議しているけれども、日本も安全保障を考えるときには中国を視座に置くべきは云うを待たない。 (遯)
05/7/23