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大統領の不安高まる=金融市場の反応発端に=相次ぐ悪報に事態の深刻さ認識

2005年7月28日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】ルーラ大統領はプラナルト宮殿で二十六日、政局混乱が経済に及ぼす悪影響を深刻にとらえ、現状分析と将来の見通しを模索するなど、終日重苦しい雰囲気の中で過ごした。これまで経済成長に強気の発言を繰り返し、また労働者党(PT)スキャンダルには一歩距離を置き、冷めた見解を示していた大統領もここにきて事態の深刻さを認識するに至ったようだ。
 発端となったのは二十五日にドル高が顕著に推移したことと、カントリーリスクの上昇が発表されたことによるもので、大統領はメイレーレス中銀総裁を呼んで将来の展望を問い質した。同総裁は、政局混乱は現在の時点で思ったより悪影響を与えていないが、これ以上長びいたり、新たな不正が発覚すれば決定的なダメージとなるだろうとの見方を示し、大統領を落胆させたという。
 政府関係者によると、大統領はスキャンダルの渦中人物のヴァレーリオ氏が九八年にブラジル社会民主党(PSDB)にも政治資金を融資していたというニュースを聞き、愁眉を開いて幾分安堵の表情を見せた。しかしそれもつかの間で、ヴァレーリオ氏のレニウダ夫人が議会調査委員会(CPI)で、PTの不正資金に関する会合にジルセウ前官房長官が出席して討議に加わっていたとし、政府も関与していたと証言したことで、大統領は深淵に落された感じになったという。
 にもかかわらず、大統領は予定の日程をこなすべく努めて平静を装った。大統領別邸でのカヴァルカンチ下院議長と与党国対委員長のシナグリア下議との朝食会では、機先を制して「政局混乱の話はなしだ。良いニュースだけにしてくれ」と冗談をとばした。
 しかし同議長はスキャンダルに多数の国会議員の名が挙がっていることで、国会の信用が失墜するとして対応を促した。これに対し大統領は、調査はCPIに委ね、下院は懸案の議決を早めて欲しいと要請した。その後大統領は外務省主催のアフリカのボスアニア要人との昼食会に出席、政局に触れずに演説を行った。
 午後には個別に閣僚と会談した。この場で、昼食会に参加したジョビン連邦最高裁長官が、汚職ならびにスキャンダルに連座していると思われるPT議員が五十人以上に上ると聞かされたことを告げ、政府としての見解発表をそれらが明らかになった時点で行うことを申し合わせた。