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工業生産、2年ぶり大幅減=金利引き上げが影響=大手輸出企業は好調維持

2005年7月29日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】七月の工業生産は過去二年間で最大の減少を記録した。昨年九月以来の連続的な基本金利(SELIC)の引き上げの影響が今になって表面化したもの。しかし統計によると、物価下降によるデフレが一部で出ていることで、インフレ抑制がある程度目安がついたことにより、今後SELICの引き下げが期待できることから、年内の景気回復のチャンスはあるとの見方もある。反面、輸出産業にはレアル高が続くことで利幅は減少する。しかし消費者物価が下がるという明るい一面も出てきている。
 ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)が昨年総額四三〇〇億レアルの売上げを計上した九百三十社を対象に調査した結果によるもので、二七%が需要が落ち込んだと回答した。これは二〇〇三年七月のSELICが二四・五%(現在は一九・七五%)だった時に次ぐ。反面、需要が堅調だったとしたのが一四%と、二年前の八%を上回り、製品の種類により受け止め方が違うことを示した。また売上げ減少による在庫は昨年七・六%だったのが、今年は一四%と増加している。
 第3・四半期への展望もまちまちで、卸売物価を値上げする意向を示したのが二七%で、四月の時点での四三%より減少したものの、まだ強気の構えを見せている。逆に悲観的に値下げは必至だと見ているのが六%から一九%へと三倍強に増加した。雇用も二四%が増やすとしているに対し、一五%が減らすとしている。いっぽう商業界では、当初の販売増加を八%から六%へと下方修正した。消費者物価が下がっているものの、工業界の減産による労働者の所得減少で購買意欲も低下するとみている。
 また、金利高に加え、レアル高が国内市場向け製品の製造業者を締めつけている。コンサルタント会社のセラザによると、これら七千の中小企業は今年三カ月間で売上げが〇・八%減少し、実質利益は三・五%にとどまった。昨年は平均で四・六%だった。
 いっぽうで製品の多くを輸出している三千の大企業は一一・六%の利益と過去五年間で最高を記録し、ドル安の悪循環をはね返した。この原因は海外からの債権がドル安で目減りしたのと、輸入原料のコストダウンにある。さらに国際相場の値上がりの後押しもあり、生産を増やすことでコストを下げる効果をもたらした。
 社会経済開発銀行(BNDES)のマンテガ総裁も楽観論者の一人だ。同総裁はインフレの目途がついたことで、中銀が金融政策を締めつける理由はなくなったとし、今後は金利引き下げに向う(向かわねばならぬ)ことで、これまで停滞していた設備向けなどの国内投資は増加し、経済成長に加担するとの見方をしている。