2005年8月3日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】労働者党(PT)の不正資金および買収工作で揺れている政界スキャンダルの中で、同党内部で工作を画策した中心人物かどうかが注目されているジルセウ前官房長官の身辺で新事実が発覚し、前長官は不利な立場に追い込まれている。
同党の資金を調達した張本人である広告代理店経営のヴァレーリオ氏がある日刊紙に明らかにしたところによると、同前官房長官の前妻に職をあっ旋するとともに、アパート購入代金の融資を仲介したという。しかも前長官から直接依頼を受けたと証言している。
これまで前長官はヴァレーリオ氏とは深いつき合いは一切ないと固くななに主張してきており、食い違いを見せるとともに改めて癒着ぶりが暴露された。前長官は二日、一連の疑惑を告発したジェフェルソン前ブラジル労働党(PTB)党首と下院倫理委員会で質疑を行う「直接対決」をすることになっているが、委員会のメンバーは今回の新事実とこれまでの主張の食い違いを徹底究明するとの強い態度を示している。
ヴァレーリオ氏によると、ルーラ大統領就任直後の二〇〇三年、前長官から別れた前妻の就職と資金融通の依頼があったという。同氏はPTへの融資で便宜を図ってくれているミナス銀行にまず就職をあっ旋した。同銀行頭取によると、前妻は心理学専攻だったため、有能と判断しサンパウロ市唯一の支店の人事課に配属した。頭取によると陰の取引なしの「商取引」の一環だとしている。
いっぽうサンパウロ市でのマンション購入は、これまたPTへの融資でお世話になっているルラル銀行に依頼した。同銀行によると貸付額は四万二〇〇〇レアルとのこと。前妻によると、当時前長官は経済的余裕がなく、十六歳の娘の扶養手当を払うのが精一杯だったという。
前妻のミナス銀行の給与が三二六二レアルだったことから、融資にはヴァレーリオ氏が一枚噛んだとみられているが、銀行側は顧客の守秘義務として明らかにしていない。これに対し前妻は、前長官はこれらに一切関与しておらず、あくまでもペレイラ前PT事務局長の仲介でヴァレーリオ氏の世話になったとし、今となっては同氏に利用されたと前長官を弁護している。
先に議会調査委員会(CPI)が発表した十二人の議員権はく奪予定者の中で、コスタ・ネット自由党(PL)党首が先陣を切って議員辞職したが、ジルセウ前官房長官の去就が注目されている。当の本人は「ゲリラ戦兵士」だとしてあくまでも戦い抜くと公言しているものの、不利な証言が相次ぎ、不利な立場に追い込まれ包囲網が狭まってきているのは事実だ。