2005年8月3日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七月二十七日】ルイ・バルボーザは一九一四年、無気力と不謹慎、不正が国に満ち、権力がよこしまな者たちの手に握られ、この時代に生を受けたことを恥じると上院で演説を行った。当時も、今日のような政治的ドン底状態であったらしいとアマラル元シティバンク頭取がいう。
これは九十年前のことだが、現在とどんな違いがあるのか。軍政を経てようやく民主政治が始まり、国民は大統領を選べるようになった。インピーチメントもでき、工員の大統領就任が可能になったのだ。
ブラジルは、世界で八番目の生産力を持つ国に成長した。ところが政治の腐敗と欺まん、モラルの低下は、経済成長をはるかに上回った。もしルイ・バルボーザが現在生きていたら、この時代に生を受けたことをさらに恥じたろう。
ブラジルのモラルは、カオス(混沌)だ。世論調査で七〇%が、ルーラ政権の汚職は史上最大と答え、労働者党(PT)支持者も六五%が汚職政権と認識している。大統領への信用度は、二〇〇三年の八〇%から五六%へ落ちた。
連立与党のブラジル民主運動党(PMDB)内でもルーラ大統領は、コーロル元大統領と比較され、多勢の国会議員が議員権を剥奪されると予想している。ジェフェルソン下議は国会議員を丸裸にするだろう。約八十人の下議が裏金をもらったようだ。裏金ではPT首脳部の全員が手を汚した。
イタリアで九二年、裁判所も巻き込んで行われた「聖なる手」作戦がブラジルでも必要だ。国会議員八十人が若い検事から取り調べられ、事業家や議員、閣僚四人を含む八百三十人が刑務所へ送られた。
ブラジルはこれまで事件が起きると、慣例に従い一人のいけにえを仕立てた。その他多勢は、取り分を山分けし一件落着としてきた。論理的に筋が通れば、現実はどうでもよいという考え方が支配的だ。