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有機農法マテ茶栽培=トレード植西さん=大豆景気に逆らうように=日本祭り出品で手応え=Tパック方式も研究中

2005年8月3日(水)

 有機農法でつくったマテ茶はいかが? パラナ州トレード市(イグアスーから百七十キロ)で、植西豊治さん(73、北海道出身)が無農薬によるマテ茶栽培に取り組んでいる。先の日本祭りにも、出品。延べ二千五百人に飲んでもらい、手応えを感じたという。誰もが気軽に嗜好できるようにと、Tパック方式での販売を研究中だ。
 大豆景気の影響でトレード周辺でも、農地を大豆畑に切り替える農家が少なくない。そうした中で植西さんは敢えて、マテ茶の栽培を始めた。
 「マテ茶は周りに自生。住民たちが毎日飲んでいるので、前々から関心を持っていたんです。世の中に動きに逆らうなんて、私、あまのじゃくなのかもしれませんネ」。
 植付けから収穫するまで四、五年かかるため、かなりの資金が必要になる。酪農家の植西さんは、体調を崩すなどして仕事を続けられなくなったため、第三者に設備などを賃貸。その収入で生活を維持させることが出来ると判断して、七年ほど前にマテ茶栽培に乗り出した。
 苗木を育成して茶葉を摘み、乾燥させて粉にし、真空パックに詰めるまで、すべて有機農法。「葉に農薬がかかっていると思ったら、飲む気がしないでしょう。除草剤も使わず、草取りも手作業です」。茶畑と加工工場に無農薬の証明を持つ、数少ない農家だ。
 マテ茶の栄養価は高く、〃飲むサラダ〃とも言われ、古来、南部のパンパに住む牧童には欠かせないものだ。「鉄分が緑茶の数倍含まれる上に、カフェインの量も少ない」。
 トレードの一般家庭でも、シマホン(茶壷)に入れて回し飲みする伝統は残っている。ただ最近、若い世代の間で、この飲み方を嫌がる傾向があるのだという。植西さんが研究しているのは、Tパック。誰もが気軽に口にすることが出来るのではないかという発想からだ。
 熱湯での試験は成功したものの、冷水になると編み目の粗さなどが課題でまだ開発途上。実は冷水でこすと味わいが深く、消費者の評判もよい。「販売方法をどう確立していくのが、大きな悩みです」と明かす。
 大豆栽培の広がりで、南部出身者がマット・グロッソ州やアマゾン方面にも進出。マテ茶の消費地域も広がり、将来有望な農産物になるかもしれない。植西さんは、気を引き締めて言う。「消費人口になると、そんなに伸びていないのが現実。多くの人に飲んでもらえるようにしていきたい」。