2005年8月5日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】生まれ故郷のペルナンブッコ州ガラニュンス市を訪れたルーラ大統領は三日、「もしも二〇〇六年の次期大統領選に再出馬することがあれば、好むと好まざるとに関わらず、敗北という一物を野党の口の中に押し込んでやる」とし、ザガロ・ブラジル代表元監督が残した名句を引用した。まだ、再出馬の考えは未決だが、大統領は任期遂行を優先し、適当な時期に決めるとした。大統領の任は国民の希望で選ばれたのであり、野党にこの事実を認識させるという。
故郷に錦を飾ったルーラ大統領は、刎頚の友に囲まれ「もみの混ざった米を食べることがある。料理する前にもみや毒麦は退けておけばよかった」と後悔するものだと汚職について説明した。ガラニュンスで大統領は、小農のためのサフラ(収穫)・プランを発表した。
文盲であった大統領の母親は、他人から尊敬されるために他人を尊敬するよう大統領を薫陶したという。野党は尊敬されることを望むなら、大統領を尊敬しろと、一連の告発による政府中傷作戦に節操を要求した。マスコミによる「次期大統領選に臨むルーラ大統領を貧血症にしておく」や「できるだけ足を引っ張っておく」などの報道が、大統領の心証を害したようだ。
ルーラ大統領は、大統領一期案に賛成票を投じたことがある、だから再出馬はけしからんという者がいる。何を根拠に再出馬がいけないか。ルーラ大統領は四年間に、カルドーゾ前大統領の八年分よりも活躍し成果を挙げたから、大統領の再選を野党が恐れているのだと我田引水の呈だ。
大統領は政治危機の原因となった告発について、ものが見えて読めるなら、事の真偽を確かめ、デマと事実を分別せよと抗議した。まだ議会調査委員会(CPI)の結論が出ていないが、節操を守った者は残り無節操な者は厳しく罰せられるべきだとした。マスコミも悪意の誤報で事実を歪めた場合は、それ相当の罰を受けるべきだという。
一方、野党はもはや大統領に遠慮はないと「目にモノを」発言に反発した。タッソ上議(ブラジル社会民主党=PSDB)は、大統領が汚職を知らなかったとするオトボケ戦術に業を煮やした。大統領は政治危機の深刻度を理解していないと批判した。大統領は労組理事長とは異なり、階級闘争ではなく、冷静に政治と取り組んで欲しいとネーヴェス・ミナス・ジェライス知事も批判した。
一国の政治は、気合いを入れるだけでは通用しないとする議員は多い。国家管理について造詣がないなら、技量不足としかいいようがない。政治危機の火元が財務担当と事務局長の二人であるかのような細工は、お粗末だと野党は見ている。大統領が再選に賭けるか否かは選挙民が決め、野党でも与党でもない。
アウキミンサンパウロ州知事は、ルーラ大統領が大統領一期論者なのにキョロキョロ考えを変えるのは不信を招くとした。一案が良いといい、果たしてそれが良いのか吟味もせずに、別案に変えるのは信念がないのだとサンパウロ州知事はいう。そもそも大統領の再選阻止案は野党の発案ではなく、労働者党(PT)の野党時代の遺物とされる。