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学祖の志体得したい=淑徳大学=研修20期生が来伯中

2005年8月5日(金)

 日本の淑徳大学(千葉県千葉市)からこのほど、二〇〇五年度のブラジル研修生七人が来伯した。約一カ月の滞在中、サンパウロやマリンガ、クリチーバなどで研修するほか、ホームステイなどを行う。
 同大学の客員教授をつとめる佐々木陽明・浄土宗日伯寺開教総監、引率の川眞田喜代子助教授とともに一日、本社を訪れた。
 今年で二十回目を迎える同大学のブラジル研修。一九八六年に三人から始まり、これまでに研修した学生は百人近くに上る。
 福祉関係の学生が中心だった研修生は今年から、新設された国際コミュニケーション学部の学生をあわせた七名になった。
 淑徳大学が開学したのは六五年。初代学長をつとめた長谷川良信氏は五四年に南米浄土宗別院日伯寺を開いた人物であり、サンパウロ市イタケーラ区の「こどものその」の前身、「子供の園」の創立者としても知られる。同研修制度は長谷川氏の福祉への志を学ぶことを目的に始まった。
 今回派遣された研修生は総合福祉学部から、天田麻紀子(社会福祉学科三年)、山下ひとみ(同)、大岩友希(同)、林由紀子(同二年)さんの四人と、国際コミュニケーション学部から元木愛(人間環境学科三年)、砂糖清香(経営コミュニケーション学科三年)、芦田里美(文化コミュニケーション学科二年)さんの三人。
 研修生たちはブラジル事情の講義やホームステイ、ポルトガル語の研修などを行い、その後、各自の研修テーマに沿った研修先に向かう。
 福祉学部の学生は国内の福祉施設などで研修。障害児教育(大岩さん)や日系老人ホームでの研修(林さん)、ブラジルの教育制度(天田さん)など様々だ。 地域福祉の施設で研修する山下ひとみさんは、「ブラジルの地域ボランティアの現状を肌で感じたい」と抱負を語った。
 コミュニケーション学部の研修生はクリチーバ市内で研修を行う。こちらは同市の環境政策(元木さん)やマスコミ(芦田さん)、日本への農産物輸出の調査(砂糖さん)など、多彩な内容だ。
 言葉の通じない非日系の施設での研修。「困ることも研修のうち」と佐々木総監は語る。「本当の福祉とは何か、若者の純粋な目で見てほしい。その体験は日本の現場で生きると思います」と研修の意義を強調した。
 七人は約二週間の研修後、国内研修などを行い、九月初旬に帰国する。
 川眞田助教授は「長谷川学祖がブラジルに広めた福祉の志、共生の精神をブラジルの空気の中で学生に実際に体験してほしい」と期待を寄せた。