2005年8月6日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】ルーラ大統領は四日、前日の生れ故郷のペルナンブッコ州に続いてピアウイ州を訪問、熱狂的な歓迎を受けた後、一千人の群集を前に演説を行った。政界スキャンダルで憂うつな日々を過ごしていたのとは打って変わり、里心も手伝ってか演説は饒舌を極め、北東部の発展に打ち込むとの態度を強調した。
また歴代の大統領は北東部を蔑視したため住民は貧困の歴史を経てきたが、その苦労に耐えてきたことは評価に値するとした上で、常に希望を持つことが肝要だとし、亡き母親が苦労しながらも希望を捨てなかったというエピソードを紹介して涙する一幕もあった。
ピアウイ州は国内最大のマモナの産地であることから、大統領はこれを原料としたバイオ燃料の生産を立ち上げることを表明、その工場第一号のエコディーゼルの公営企業を発足させたことを明らかにした。これにより生産されるマモナはすべて政府が買い取り、さらにバイオ燃料に関連する製品の税金を一率に引き下げるとの構想をぶちまけた。
これまでマモナはせいぜいヒマシ油ぐらいしか需要がなく生産者は生計もままならなかったが、これは北東部が潤う一大改革となるとの認識を示した。バイオ燃料はココナッツのデンデー油、大豆、ひまわりの種などから生産できるが、政府があえてマモナを選択したのは、他の原料だと南部や南西部に偏り、またぞろ北東部は置きざりにされるからだとして、北東部発展の切札であることを強調した。
これについては一九五四年に当時のジェトゥーリオ・ヴァルガス大統領がペトロブラス(石油公団)を創立したのを引き合いに出し、当時は財界、有識者、メディアがこぞって反対したのを大統領が強引に押し切った形となった。それが現在では一億八六〇〇万人のブラジル人全員の誇りとなって繁栄している。今回のマモナによるバイオ燃料も同じ結果を生むと断言した。
またアメリカではトウモロコシでのバイオ燃料を検討しているが、大統領は「今度ブッシュ(米大統領)に会ったら、トウモロコシは鶏に食べさせて、我々のマモナのバイオ燃料を購入せよ」と言うつもりだと一笑した。
いっぽうで、当地の労組幹部二十五人との会合で大統領は金利に触れ、通貨政策委員会などの経済政策スタッフが態度を硬化させ続けているのは遺憾だとした上で、パロッシ財務相にも金利引き下げの検討を至上命令として指示したので、一朝一夕とまでは行かないが、短期あるいは中期的に金利は低下するとの見解を示した。また景気動向については先週リオ・グランデ・ド・スル州では「不透明な部分が多い」と発言したのを撤回し、「堅調に推移する」とした。