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前官房長官の審議奪先送り=下院議長=議員権はく奪で=PTB議員4人のみ対象=辞職検討に時間稼ぎ

2005年8月10日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】下院倫理委員会から議員権はく奪リストの提出を受けたカヴァウカンチ下院議長は八日、ジルセウ前官房長官は議員倫理の抵触に至らないと外し、審議先送りとした。ブラジル労働党(PTB)のサンドロ・マットス下議とネウトン・リーマ下議、ジョアキン・フランシスコ下議、アレックス・カンジアーニ下議四人のみの議員権はく奪審議を下院議長は受理した。下院議長は下院労働組合の理事長でもピッツア職人でもないとする抗議が、下院を席巻した。
 カヴァウカンチ下院議長の策略で、ジルセウ前官房長官の議員権はく奪審議が退けられた。下院倫理委員会の下議九人の議員権はく奪請求で下院が混乱し十分な審議ができないという理由で、下院議長は前官房長官とマベル下議(自由党=PL)の審議を外した。議員倫理抵触の立証が不十分だというのだ。
 前官房長官とマベル下議の場合は、下院倫理委員会で他のケースと同様な事務的処理ではなく、時間を掛け慎重に審理すべきだと下院議長が強調した。下院執行部にも、十分な時間を与えるべきだというのだ。
 下院議長から下院倫理委員会に対し、労働者党(PT)議員に関する提訴の合意書がないかぎり、PT議員の審議は行われない。また前官房長官の議員辞職も不要とされている。
 下院議長の先送り判断は、倫理委員会イザル委員長(PTB)との間で混乱を引き起こした。十五人のメンバーからなる倫理委員会で、議員権はく奪の大量生産は粗製乱造になると下院議長が見解を述べ、ごうごうたる非難を浴びた。
 下院倫理委員会の審議は重要だ。同委員会がはく奪審議に入る前、告発された下議は議員辞職のチャンスが与えられ、次回選挙の立候補が許される。審議開始後の議員辞職は政治活動が禁じられる可能性がある。前官房長官とマベル下議は現在、辞職を考える時間を与えられたようだ。
 野党自由前線党(PFL)のアグリピーノ上議は、倫理委員会は下院裁判所の役割を果たし、下院議長は被告を逃がしたと抗議した。マイア下議(PFL)も前官房長官の議員権はく奪審議の先送りは、審議妨害であると非難した。先送りについての言い訳は詭弁であり、倫理委員会の使命を無視した下院議長の越権行為であると糾弾した。
 イザル委員長は、前官房長官に関する下院議長の提訴合意書を期待していると述べた。倫理委員会は、すでに前官房長官の特別審議で上程者二人をたて準備万端だという。上程書は起草済みで、前官房長官の議員権はく奪は動かないものとなっていたようだ。立証不十分はないと、倫理委員会は踏んでいた。
 一方、サントアンドレ裁判所の第八民事法廷は、ジルセウ前官房長官が殺害された前市長の実兄を名誉棄損で訴え、九日に出廷を求めていたがそれを免除した。同市から集めたリベートを政治献金として前長官が受領したと、実兄が告訴していた。出廷免除は、マスコミへの反響に対する裁判所の配慮とされる。
 倫理委員会の人手不足を盾に問題の先送りをして、政治的合意で決着をつける作戦と野党はみている。与党側にも、不自然な小細工をしないで全員をケース・バイ・ケースでこれまで通り審議すべきという意見は多い。