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静かな高齢化進むブラジル=2050年に若者と同数=高齢者の社会参加推進を

2005年8月10日(水)

 【ヴェージャ誌一九一二号】国連の世界保健機関(WHO)で、高齢化社会を担当するブラジル人医師アレシャンドレ・カラシェ氏は、リオで開催される世界高齢化対策会議に出席のため帰国した。
 ブラジルも静かな高齢化が進み、対岸の火事とは言えない。生産者人口の高齢者への負担は、年々確実に増えている。二十世紀は平均寿命を二十九歳伸ばしたが、二十一世紀はそれが負担になっている。
 ブラジルは二〇五〇年に若者と高齢者が同数になる。現在なら定年で引退できる人が、引き続き働いて高齢者を養わねばならない。高齢者の社会参加は、高齢者自身にもよいことと同氏は考える。次は同氏の高齢者に関する見方だ。
 【二〇五〇年への準備とは?】ブラジルは高齢者の医療システムと医療設備が、早晩行き詰まる。定年退職を近年に控えている年齢層は、第二次大戦後のベビーブームで生まれた層で、定年とともに高齢者の割合が激増する。
 ブラジルのベビーブームは意味合いが異なるが、戦後迎えられた多数の欧州移民がセックス革命の一翼をになったことに変わりはない。だから高齢者に対する考え方を変える必要が生じる。
 【具体的にどういうことか】戦争中は楽しいセックスを考える時間がなかった。戦後から一九六四年までに生まれたクラスが思春期に入り、セックスと生活習慣を変えた。この年代は社会参加と高齢化を同時進行させ、戦中派より高齢化について知識が深い。
 戦後派は、戦火を潜り抜けた戦中派と生活習慣が異なり、医学知識や家族計画に詳しい。所得も豊かだし、堅実な消費市場も築いた。観光業や自動車産業の勃興は、ベビーブームのお陰といえる。この年代は、豊富な性知識で、二十一世紀の生活様式を変えた。
 【ベビーブームと少子化がもたらすもの】年金で高齢者を養えば若者の負担になるという考え方を変える必要がある。高齢者が社会参加できるように、労働法や年金法を改正する必要がある。高齢者の社会参加で階級闘争は減り、高齢者は社会のテトラポットになる。高齢者の参加がない家庭はギスギスする。
 【あるべき社会保障制度とは】ブラジルの社会保障システムは、国民全員が金持ちであれば可能な制度だ。現在の社会保障システムは九五年に破綻したが、当時の政府は何も対策を講じなかった。定年は人口と平均年齢と掛け金歳入額で割り出すものだ。
 【高齢者の男女差は】女性は男性より長生きするので、生活苦を強いられる。未亡人は高齢で金持ちの男性と再婚し、平均十五年で再度未亡人になる。これが未亡人にとっての生活の知恵らしい。高齢者にとってのストレスは、小さな部屋に息子や孫と寝かされ、邪魔者扱いされること。これは高齢者の寿命を縮める。
 【ヴァイアグラの影響は】ブラジルでは男性高齢者が恋で夢中になり、女性を追いまわしても批判する者はいない。その点男性は、女性高齢者より恵まれている。しかし腹上死はお互い注意したほうがよい。子孫のために誇れる話ではない。