2005年8月10日(水)
日本の政局がブラジルに飛び火――。衆議院解散・総選挙が日伯交流にも影響を及ぼしている。国会の「夏休み」にあたる八月は例年なら議員の来伯ラッシュのシーズン。今年も扇千景参議院議長ら「大物」を含む何組かの来伯が予定されていたが、キャンセルが相次いでいる。その余波で、日伯議員連盟事務局長の河村健夫衆議を迎え今月末にリオデジャネイロで開催が予定されていた日伯二十一世紀協議会第一回会合の延期も決まり、百周年に向けた取組みも足踏みを余儀なくされている。
大使館筋によれば、今年夏にブラジル訪問を予定していた議員は扇千景参議院議長、河村建夫衆議院議員(自)、大口善徳農林水産政務次官(公)、中馬弘毅衆議院議員(自)ら。別の消息筋によると、保坂三蔵参議院議員(自)も来伯をキャンセルした模様。
扇議長の来伯はブラジル上院議長の公式招待だった。現職参議院議長の来伯は極めて珍しく、中止が惜しまれるところだ。
日伯議員連盟事務局長の河村議員は今年三月にブラジリアで開催された日伯経済シンポジウムに出席しており、大統領訪日の際に両国で設置がきまった日伯二十一世紀協議会の日本側メンバーでもある。
今回の訪問では、今月末にリオで開催予定だったブラジル側協議会に参加を予定していたが、取り止め。協議会は延期され、年内に実施できるか微妙な状況だという。百周年に向けた政府レベルの話し合いの第一歩がつまずいた格好だ。
昨年八月に参議院ODA調査団長として来伯している保坂議員は今回の滞在で、フレックスオイル、セラード関係の視察を予定していたが中止。
また、農水政務官と、観光交流促進ミッションが来伯をキャンセル。エタノールや農産物の輸出、観光促進は両国間の直近の課題なだけに、今後の展開に微妙な影響を与えるのは必至。
昨年の小泉総理来伯、今年のルーラ大統領訪日と緊密化の機運が高まってきた両国関係。衆院解散・総選挙の余波で、一時的とはいえ、その流れが中断されそうだ。