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高齢農村=心細い防犯=モジ市郊外=日系人宅狙う強盗、最近も=現地文協「悪い状況」改善せず

2005年8月12日(金)

 若者離れが進むサンパウロ市近郊農村で生活する高齢日系人を狙う強盗が後を絶たない。八日夜にはモジ・ダス・クルーゼス市ポルテイロ・プレット区の六十歳代日系夫婦が家財道具や現金などを奪われる被害に遭った。同区では最近一カ月間に五件の強盗事件が発生。「息子たちがいなくなってしまって、自分らの力だけで、防犯に気をつけたりするしかないというのは本当に心細い」――。現地日本人会会長は高齢会員の嘆き声をそう代弁する。
 会員の大半が高齢者。息子たちの多くが日本やサンパウロに働きに出ているポルテイロ・プレット区日本人会(足立忠博会長、約四十家族)。
 地域住民を狙う強盗事件が相次いで起こっている事態を受けて四日、市警らを交えて自警手段やパトロール強化の計画などについて話し合った。
 そんな矢先のことだった。八日午後十一時頃、同区の高垣トシオさん(64)チエコさん(61)宅が少年三人組の強盗に襲われた。十日付ディアリオ・デ・スザーノ紙によると、激しくドアを叩く音を聞いた夫妻は危険を感じて逃げようとしたが、拳銃で殴られたチエコさんは顔に軽いケガを負った。
 その後夫婦はトイレに閉じ込められ、その間に食器やテレビ、カメラや現金などを盗んだ三人組は高垣さんの車で逃走した。
 農村の防犯体制確立が急務とされる中、モジ・ダス・クルーゼス文協では毎月理事会を開き、市内各地区の治安について意見交換している。
 中山喜代治理事長は「事件は増えているわけではないが、ずっと悪い状況。地域ごとに巡回パトロールを行っているところもあるが、それで夫が家を空けている隙に襲われる皮肉なこともある」と話す。
 また、各人が家屋にサイレンを付け自衛に努めたり、警察が警備強化すると約束してくれてはいるものの、車両・人手の不足で大きな成果をあげていないのが現実だという。
 同市では一昨年四月、ヴィラ・モラエス区の浅野三男さん(当時82歳)と妻のヨシさん(同80歳)が殺害されるなど、高齢日系人らが狙われるケースが相次いでいる。