あと二年十カ月後に、日本移民百周年がやってくる。一昨年、戦後移住五十周年祭典を取り仕切った戦後移民の一世たち(厳密にいうと一部の一世たち)は、現時点で記念すべき百周年を意義深い、日本文化あふれる祭典にしよう、という雰囲気が、少なくともサンパウロの日系社会に生じていない、と憂えている▼百周年祭典を実行する協会はすでにある。だから、雰囲気づくりをしない協会指導者に対して「何をやっているんだろう」の批判となる。さきの県連主催の日本祭りの来場者たちに「百周年祭典」についての意識をたずねたところ、ほとんど「無」に近かったことが、憂えを深めたのである▼戦後移住者の考えることは、いわゆる〃日本的〃だ。リベルダーデ駅前に「〇八年六月十八日(百周年の当日)まであと××日」といった広告塔を立てて気持を高揚させる、百周年祭典テーマソング(象徴歌)を採用するなどである▼これは、いうまでもなく、メイン(主要)事業ではない。あくまでも、まず「百周年祭はわたしたちの祭典」の意識、雰囲気づくりが肝要といった考え方から発している。テーマソングの〃候補〃はすでにある。そのうち、街で聞けるようになるであろうポップ調「こころひとつに」だ。在日日本人のプロの作詞作曲である▼雰囲気を醸(かも)し出すための歌を設ける手法というか、心配りは一世特有のもので、二世以降の世代には受け入れられないのかもしれない。近く協会に提案されるようだ。(神)
05/08/17