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財務相の釈明に各界好感=迅速かつ説得力あり=逃げ回る大統領へ非難強まる

2005年8月23日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】元秘書からヤミ資金を受け取っていたと告発されたパロッシ財務相が記者団に二時間にわたる釈明を行ったことは、説得に十分価すると好感をもって各界に受け止められた。同財務相への告発は一連のスキャンダルが交錯する中、「パロッシ、お前もか」とか「出るものが出た」として衝撃が走ったが、財務相の迅速かつ説得力のある釈明で平静を取り戻した。
 しかし関係筋は、財務相がいかなる事態になろうとも経済政策は不変だとの強い態度を示したことで政財界は納得したものの、社会的道義への疑惑は晴らさねばならぬとの意見で一致している。テレビでの釈明を視たルーラ大統領は、「ゴールを一発決めた」とし、ひいきの「コリンチャンスが勝った」時の気分だと手放しに喜び、同財務相が進退伺いを提出すると言明したことなど意に介せず、閣僚全員に財務相を全面的に支援するようゲキを飛ばした。
 これに対し野党側は、本来ならば大統領がスキャンダル発覚時点で釈明すべきことを財務相が代弁したとして、問題に直面せず第三者に非を押しつけて逃げ回っている大統領を非難する声が強まるという皮肉な現象が起き上がった。
 サンパウロ州工業連盟のスカフ会長は工業界の総意だとした上で、今回の財務相の釈明は明白かつ責任感に溢れており、満足しているとの感想を述べた。また、本来なら中傷的告発で無視するところだが、敢えて迅速に問題を取り上げたのは賞讃に価すると評した。全国工業連盟会長のモンテイロ下議も同様、スマートかつエレガントな釈明だと絶讃した。
 政界でもこれとほぼ一致した意見が大勢を占めている。しかしこれに加え、少数野党を代表する自由前線党(PFL)は、告発が野党や部外者からではなく、労働者党(PT)内部だったことに、与党としての態勢に問題があると指摘している。ブラジル社会民主党(PSDB)も同意見で、告発された以上、財務相は議会調査委員会(CPI)できっちり証言する義務があるとの態度を示した。
 ジルセウ前官房長官は側近を通じてのコメントで、常に売名行為で目立ちたがる者がいて、潔白にして犠牲になる人がいるものだとして、我が身を振り返るような発言をした。大統領の政敵を自認するアウキミンサンパウロ州知事は、今回の財務相の堂々たる態度を何故大統領がこれまでに示さなかったのか理解に苦しむと非難した。全国弁護士協会も同様の見解を示し、疑惑解明は警察に委ね、財務相は経済政策に専念すれば良いとの見方をしている。