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デカセギ向け日本語会話=日語セ=試験的に新教材で講座=教室は開設しない=各学校で指導できるように

2005年8月23日(火)

 ブラジル日本語センター(谷広海理事長)は先ごろ、デカセギ向け教材「就職のための日本語会話」を作成、効果を確かめるため今年七月から試験的な日本語講座を開いている。「サバイバル」をテーマに、基本会話や「食事」「電話」「標識」などの場面を取り上げた。日本語を全く話せなかった受講者三人は、訪日を前に言葉や文化の違いに対する不安が緩和されたという。日本語センターは、デカセギ向けの教室を開設する考えはない。今後、教師を対象にした指導講座を計画。それぞれの学校で教えられるように、ノウハウを手ほどきする。
 「パスポートを持っていますか」「はい、持っています」「この書類に記入してください」「すいません、日本語ができません。教えてください」。
 十九日午後開かれた授業をのぞくと、訪日を間近に控えたデカセギ三人が会話の反復練習に励んでいた。この日のテーマは「市役所」と「郵便局」。教師の斉藤市美さん(二世、56、公務員)が挿絵を表示しながら、発音をチェック。ロール・プレイングも楽しんでいた。
 教科書は、JICAシニアボラティアの中田秀光さんが中心になってつくった。「音声」を重視して教科書は事前に渡さず、授業後にプリントとして配る。
 斉藤さんは「始めた時に日本語は全然分からなかったけど、この一カ月半で長い文章も言えるようになりました」と語り、教科書の出来ばえに手応えを感じている様子だ。
 模擬授業は週三回で全十九回。うち三回は、試験で上達度を測る。受講者たちは「日本で不安なことと言ったら、言葉や文化の相違。でもここでいろいろと学ぶことが出来て、安心した」と胸を撫で下ろす。
 日本語センターは十一月に、教師用の指導講座を計画。教科書の使い方などを教授する。中田さんは「教科書に合わせて、授業を行うのではなく、生徒を中心に教室づくりをしなければならない。特に、デカセギを多く出している地域に、役に立てるはず」と話している。