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8月のジンクス破れる=予想覆した輸出とインフレ

2005年8月24日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】八月はローマ帝国のアグスチヌス帝がエジプトを征服した記念すべき月であるが、評判が悪い。ブラジルでは、狂犬病が流行る月とされる。ポルトガルでは、結婚式が皆無の月とされる。八月に船が出港すると、多くの女性が未亡人になったという。
 政府も八月は漂流船のように呆然とする月であると敬遠している。議会は議案を審議せず、停止状態にある。その反面、経済は次々記録を更新し、八月のジンクスを打ち破っている。
 第一は貿易黒字、第二はインフレ抑制。数か月前は我々の前に立ちはだかっていた怪物なのだ。輸出は人為的に吊り上げられたレアル高騰で、落ち込みが予想された。インフレ目標は非現実的だと批判された。それがどうだろう。
 七月の輸出は、一一〇億ドルと新記録だ。貿易黒字は五〇億ドルと過去最高。石油製品の輸出急増が原因だ。毎年あることではないが、いつも救世主が現れてブラジルを危機から救ってくれるのは不思議である。
 過去七カ月の輸出は六四七億ドルに達した。二〇〇六年は一一〇〇億ドルに達する見込みで、達成すれば国内総生産(GDP)の一八%だ。過去五年は九%内外で低迷した。これはブラジル経済にとって輸出が欠かせない重要な産業になったことを意味する。
 輸出が年々伸びていることは、技術的にも国内産業が成長したことを意味する。加工品が輸出の五六%を占め、三三%は品質が国際水準にある。また輸出企業は国際価格より廉価に生産し、輸出金融を組めることも特筆すべきことである。
 マクロ経済政策で、インフレを鎮圧したことも吉兆である。ほぼ目標内に治めたことを三カ月前、誰が予測したか。市場物価指数がはじき出したインフレ率三・八%は、インフレの元凶とされるライフラインや借家契約、税金などで〇六年に低下圧力をかける。
 原油暴騰とドルの為替危機が大きな足音を立てて迫りくる中、政治危機はカントリーリスクと通貨危機に豹変し、ドルの暴騰が起きそうだ。いずれにしてもインフレと基本金利の低下がある。問題はブラジル経済がいつまで政治危機に煩わされず成長するかだ。八月には、それに答える兆候があると思われる。