2005年8月25日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】二〇〇六年大統領選の調査を行った調査機関IBOPEは二十三日、ルーラ大統領(労働者党=PT)が一次選でセーラ市長(ブラジル社会民主党=PSDB)の後塵を拝するという調査結果を発表した。ルーラ大統領の支持率二九%に対し、セーラサンパウロ市長の支持率は三〇%。決選投票ではルーラ大統領三五%に対し、セーラ市長は四四%。政治危機がルーラ大統領支持に陰りをもたらしたと推測される。支持率の下降は、二十九歳以上の高低学歴層の女性に顕著だ。
ルーラ人気が後退し王座を譲ったのは、〇二年以来初めてである。調査はTVグローボの依頼でIBOPEが八月十八日から二十二日まで、全国百四十三都市の二千人に質問した。前回選挙で敗走したセーラサンパウロ市長が大統領選に立候補するなら、一次選と決選で当選できる見通しとなった。
調査結果は、汚職スキャンダルがルーラ大統領の支持基盤を侵蝕したことを物語っている。大統領に対する評価は下降が顕著である。全体で「評価する」が四五%に対し、「評価しない」が四七%。南部に行くとそれが、評価三七%に対し非評価五五%だ。
全体の評価四五%は、六月五日の調査の五五%から一〇%も落ちた。そればかりではない。政権に対する信用も落ちた。政権を「信用する」が四三%に対し、「信用しない」は五二%。前回よりも一三%落ちた。
PT支持層といわれたCクラスは、「信用する」が四一%に対し、「信用しない」が五四%。人口十万人以上の大都市では「信用する」が四二%に対し、「信用しない」が五三%であった。
政策評価では、五%が「最高」、二四%が「よい」、三八%が「普通」、一〇%が「よくない」。二一%は「最低」と答えた。加算すると評価は二九%、非評価は八一%である。誰に責任があるかでは、PTが二九%。下議全員が二八%。大統領が二二%。連立与党が一九%と答えた。
地域別でルーラ大統領とセーラサンパウロ市長を比較すると、大統領が北東部と南東部で勝利。北部と中央西部で引き分け。南部ではセーラサンパウロ市長が大差で勝利。奇異なのは、大統領の地盤と思われた地方部で支持率が低く、都市部や都市周辺部で支持を保っている。セーラサンパウロ市長は、大都市と周辺を除く全域で勝利を収めている。
女性支持層では、セーラ市長が一二%リード。三十歳から三十九歳の年齢層では、セーラ市長が一四%リード。南部ではセーラ市長が二六%リード。最低賃金の五倍から十倍までの所得層では、セーラ市長が一六%リード。
セーラサンパウロ市長がルーラ大統領をリードという調査結果にPSDBは沸いた。過去三十日間のルーラ攻撃は、効果があったという見方だ。PSDBを驚かせたのは、政権評価よりも大統領評価が低いこと。議会対策に変更はなく、国際世論が憂慮するコロンビア化につながりかねないインピーチメントはないと、PSDBはいう。
これからは野党色を鮮明に打ち出し、過激な言動を慎み、無理な飛躍もしない方針。国民は、大統領排斥のような混乱を招く方策を好まないとみている。あくまで大統領選を有利に導く下ごしらえが肝要とした。