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コラム 樹海

 ガザに入植したユダヤ人の退去が完了し、シャロン首相とアッバス議長が電話会談で喜びを語り合ったという。ガザには約8500人が入植していたが、撤収作業は大きな騒ぎもなく終わったのを歓迎したい。勿論,反対する住民らもおり小さな小競り合いはあったにしろ暴動にはならなかったし和平へと力強く歩みだしたと見たい▼ガザ地区はパレスチナ自治政府に渡され統治されることになるが、治安や経済的な課題が多いことも否定できない。自治政府のアッバス議長は、返還されたガザにアパートを建設し,港湾整備を進めるとの計画を発表しているが、きちんとした資金的な裏付けはない。港湾についてはオランダが協力したいの意向を示しているけれども、正式に表明したわけではないし、アパート構想の状況も厳しい▼と、中東和平へ一歩踏み出したのはいいが、客観情勢は楽観を許さない。ヨルダン川西岸の問題も大きい。この占領地には23万人ものユダヤ人が居住しているし、撤収への抵抗も強い。イスラエル政府は、これらのうち4入植地から退去するとし既に2植民地は自主的に撤収したが、他には反対派も多い。このため一万五千人もの軍隊を現地に投入して退去の仕事を進めている▼ガザも西岸も67年の第三次中東戦争で勝利したイスラエルが占領したところであり、もう40年近い歳月が流れている。従って入植した人々にも,ある種の歴史があり、課題の解決を難しくしている側面も見逃せないのだが、ここは大局的な立場に立って行動するしかあるまい。      (遯)

 05/08/25