2005年8月26日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十一日】サンパウロ市南部サント・アマーロ区で地下水が有毒薬品に汚染されていることが判明、市当局は井戸水の使用を中止するよう呼びかけている。汚染が発覚したのはインテルラーゴ地区からソコロ地区にかけての一キロ範囲で、地下百メートルにまで及んでいる。当局ではさらに広い範囲が汚染されているとみて、検査を続ける方針を打ち出した。
汚染発覚の発端となったのは、ジレッチ社が一九九六年に買収合併した同区所在のドゥラセル社の地下用水を検査した結果、大量の不純物が混入していることで当局に報告した。これに基づきサンパウロ州環境技術公社(セテスビ)が当該地域の地下水を検査したところ主に塩酸や塩化系の人体有毒薬品が検出された。
これらの薬品はプラスチック加工や金属の漂白に使用されるもので、工場からの排水に混じってタレ流しされたものと見て調査を進める。汚染が地下百メートルにまで及んでいることで、かなりの年数が経過していることを物語っており、原因解明は困難だと予想されている。
これらの薬品を体内に吸収すると、発ガンの原因はもとより肝臓や腎臓症となり、中枢神経が冒され、激しい頭痛や精神不安定の状態が続き、果ては死に至る。このため市当局は当該地区に限らず全市民に対し、上水道の水以外は日常生活で使用しないよう呼びかけている。
これまでサンパウロ州ではパウリーナ市で一九九四年、シェル石油が地域を汚染したとして二百家族を退去させ、その費用を負担することを命じられた。二〇〇二年には同じくシェル石油がサンパウロ市内ビラ・カリオカ区で鉛公害のほかベンゼンなどの薬品汚染で告発された経緯がある。