2005年8月30日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】二〇〇二年一月に当時市長だったサント・アンドレ市のセルソ・ダニエル市長が殺害された事件を捜査しているサンパウロ州検察局は、同市長の司法解剖を行った監察医の証言により行き詰まりを打破、新たな局面を期待できると見て、真相を追及していく方針を固めた。
検視を行ったプリンテス・サンパウロ大学(USP)教授によると、市長は殺害される直前に拷問を物語る激しい暴力を受け、その傷跡が複数、遺体に残っていたという。また拷問は複数の人間により長時間にわたって行われ、傷跡は同教授が手がけたこれまでの検視で最も残虐な方法だったと証言している。
これにより検察局は、これまで警察が推測してきた強盗殺人や政争による怨恨殺人ではなく、根の深い事件だとみている。検視結果は、拷問により何らかの事実を吐かせようとしたものだとしている。
同市長は〇二年の大統領選挙でルーラ大統領の運動員を務め、選挙資金を調達し、当時のジルセウ党首(前官房長官、今回のスキャンダルで辞任)に上納した疑いがある。また同市のゴミ清掃業務で汚職を突き止め、その告発を用意していた。警察ではこの汚職が明るみに出るのを怖れた一味が市長を「消した」と見ていた。今回の証言で検察は労働者党(PT)の資金関係も含め、広い範囲で捜査をやり直すことになった。
同市長は二〇〇二年一月十八日、サンパウロ市内のレストランを出た所を誘拐され、三日後の朝、郊外のジュキチーバ市の農道で射殺死体で発見された。警察は当初、強盗殺人事件と発表したが、汚職事件がからんでいることから証人および証拠隠滅事件に切り換え、レストランに同行した同市の企業家を逮捕した。企業家は市長の盟友だったが、ゴミ清掃業者から賄賂を受け取っていた証拠を挙げられた。