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商工会議所、業種横断して意見交換=05年上半期回顧と下半期展望=連載(下)=家電、著しく成長達成=繊維国内販売、競争が激化

2005年8月30日(火)

【繊維部会】
 「去年は晴れたが今年はやや小雨」と語る今井達男部会長。冷夏と暖冬の影響で、小売り店の中には支払い手形を延期するところも出てきているという。またレアル高にともない、シェアの大半を占めるブラジル企業が輸出を国内販売にまわしたことで競争が激化。さらに安価な中国製品の流入で価格が下がり、厳しい状態が続いている。
 九月からの春夏物、そして年末商戦に向けて販売を強化するという。レアル高と中国製品の価格破壊によりブラジル製品の淘汰が進むとの見方もある。「これまでの開発国型から輸出産業への転換が必要かもしれない」と今井部会長。その一方で「繊維は伸び縮みしますから、多少のことではへこたれません」とも。
【食品部会】
 上半期の国内販売状況は昨年ほどではないが、比較的順調に推移した。即席めんはレアル高で原料コストが下がり、前年比一〇五%増。新規参入で競争が激化するなかでシェアアップを達成した。その一方、食品添加物や香料などレアル高の影響を受けて売上が減少した分野もある。
 四月に起こったサーモンの寄生虫問題。日本食レストランの売上落ち込みが酒、醤油の販売にも影響を及ぼした。六月以降客足は戻りつつあるが、完全には回復していないという。
 下半期は現在の政治混乱の行方により状況が変わる可能性はあるが、ほぼ順調に推移する見通し。
【電気電子部会】
 家電部門の生産が好調を続けている。SUFURAMA(アマゾン経済特区監督庁)の統計によれば、八四%の伸びを示した携帯電話端末機(千五百三十万台)を筆頭に、DVDプレーヤー、電子レンジなど軒並み二桁の増加。会員の家電メーカー各社も二桁の成長実績を達成した。
 板谷稔部会長は、下期はレアル高による値下げ圧力が高まることも予想されるが、通信部門を中心に好調を維持する見通しであると述べた。また中国製品は部品の増加に加え、ラジカセなどの完成品も増えつつあるとして、地元製造企業の淘汰が進むとの見方を示した。
【建設不動産部会】
 建設部門は昨年から好調を持続しているが、受注競争激化や原油高による資材高騰などの影響も出てきている。不動産部門は、住宅部門で高金利が続いているため業績が伸び悩む。また、マンションなど最近は完成後の購入希望者が多く、工事金の立て替え金利が業績を圧迫している。
 下半期は、上期と同程度かやや悪い見通し。レアル高が続くと海外からの投資が悪化するため、投資の縮小、延期も考えられる。不動産部門でも、サンパウロ市内の新築アパートが過剰気味になっており、高金利の影響もあって横ばいの状況が続くと見られる。
【運輸サービス部会】
 航空業界は国内シェアを伸ばすTAMやGOLなどがメルコスールにも進出して座席供給過剰の状態になっている。国際線はレアル高によりマーケット拡大。日本行き路線は米国のビザ問題のため、約六割がカナダ、ヨーロッパ経由に移行していると見られる。旅行業界は運賃値上げにもかかわらず、ドル安で欧州を中心に海外旅行が伸びているという。
 平野候一部会長は下半期の懸念材料として航空燃料の高騰、テロによる治安の不安、新規参入に伴う競争の激化などを挙げた。また、会社更生法を申請したヴァリグは九月頃に再建案を出す見通しだが、政治混乱が続く中、厳しい状況も予想されると語った。
【自動車部会】
 自動車、二輪ともに好調な生産・販売が続いている。自動車の場合、〇五年上半期に初めて、生産台数が百二十万台を突破。輸出も前年同期比四割増の約四十万台に上った。輸入車も四割の伸びを示した。今年は、年間で二百三十万台の生産が見込まれている。
 二輪車も同じく好調で、輸出はこれも四割以上増加した。今年は年間生産台数が初めて百万台を突破する見通しだ。
 この日の発表では、技術者へのビザ発給が不安定なためブラジルでの技術指導に支障が生じている現状についても報告された。
    ◎  ◎
 在伯日系企業の中で最近になって、企業と海外現地法人との取引にともなう移転価格税制に関して、ブラジルの監督官庁から査察を受けるケースが出てきている。この日の懇談会でも、いくつかの部会からこの問題に関する意見が出された。会議所では所内に検討委員会を設置して対応を進めている。

■商工会議所、業種横断して意見交換=05年上半期回顧と下半期展望=連載(上)=商工会議所、業種横断して意見交換=大統領弾劾あるまい=コンサルタント部会遠山副部会長=「信用回復に実績」