2005年8月31日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】タルソ・ジェンロ労働者党(PT)党首が次期党首への候補を断念したことを受けて、リカルド・ベルゾイーニ下議は二十九日、多数派を代表して次期党首への意欲を表明した。所信演説で同下議は、ジルセウ前官房長官の党内活動の続投を支持した。また経済政策の変更を促し、予算カットによる財政黒字の堅持やインフレ抑制と共に、経済成長を優先する意向を示した。そのために党と政府は、新たな経済政策を冷静に議論しつつ、模索する必要があることを強調した。
ジェンロPT党首の続投断念に伴い、ベルゾイーニ下議の新党首候補キャンペーンが始まった。PT党本部で記者会見に臨んだ同下議は、ジルセウ下議の党指揮官としての采配を支持した。ジェンロ党首のPT再建案には同下議が難色を示していた。謹慎中のソアレス前財務担当などを呼び戻し、党の柱を修繕する考えであると述べた。
ジルセウ下議の進退については二日、党主流派会議で話し合う。同時にソアレス前財務担当と広報業者ヴァレーリオ氏が構築した政治資金システムの取り扱いも討議する。ジェンロ党首の綱紀粛正案は事実上お蔵入りをする。
ベルゾイーニ下議は、常に反パロッシ財務相の急先鋒であった。ルーラ大統領の二〇〇六年再選にも、現経済政策が継続される限り反対である。抜本的な改革を望んではいないが、経済成長を犠牲にした財政政策と高金利政策には反対している。この二つに次期大統領選がかかっているという。
ルーラ大統領の経済路線の継続宣言で財政黒字と公債の決済を優先したことから最も痛手を受けたのは、ベルゾイーニ下議が赴任した社会保障省だった。ルーラ宣言が何を意味したかを肌身に痛感したのは、同下議であった。
一方、ジェンロ党首はジルセウ下議が党首脳部に在籍する限り、九月十八日の党首選に立候補する考えのないことを明らかにした。同党首はPT建て直しのため新派の結集へ意欲を見せたが、派閥からの敗北は否めない。同党首は党首職引継ぎ後、政治活動から離れ弁護士業へ戻るらしい。
スプリシ上議も、反ジルセウ派として同下議のPT首脳部在籍に反対した。同下議がPTにいる限り嵐が絶えないと批判した。同上議は郵便局CPI(議会調査委員会)設置の表決で賛成票を投じ、同下議から首脳部在籍を拒否された。同下議の采配で同上議は反主流派へ追いやられる羽目になった。
ペレイラ前事務局長は、同氏を辞任に追い込んだジープで別荘へ隠遁に向かった。同氏は離党届を提出して以来閑職にあり、PT事務局長は娘の子守り役に転職したと述べた。ルーラ大統領やジルセウ前官房長官が政権の中枢へ上るため裏方に徹した立役者である。いまは、その政権も泥沼に没しつつある。
ジェンロ党首に同調してPT離党宣言を行うブアルケ上議やコスタ下議などの政治家が続々現れた。ジルセウ下議の権謀術数についていけないというのだ。まだCPIの結論は出ていないが、社会を欺いた政党としてのPTを見限ったという。