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好調な経済はいつまで?=政治危機から早期脱出を

2005年8月31日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】政治危機が経済へ及ぼす影響の大きさを誰もが案じているとシティ・バンクのアマラル元頭取は思っている。ブラジル経済は往年と違い成長した。だから政治危機に振り回されることなく、これまでは何とかヤリクリをしてきた。しかし、問題はこれから先だという。
 議会の鶏小屋論争はどこまで続き、海外に恥をさらすのか。政治危機が国家経済に被害をもたらさないならばよい。しかし、サンタクロースのおとぎ話のように経済は無傷という考えは、信じがたい話だ。
 昔と今回の政治危機の違いは、経済基盤と為替事情が安定していることだ。これまでの内外要因による危機は、いつも二〇%から三〇%の通貨暴落をもたらした。通貨防衛のためブラジル人たちはこぞって海外送金したので、大量のレアル通貨が流失した。
 今回は高金利や順調な輸出も手伝っているが、通貨防衛の必要がないため通貨は国内に留まっている。二〇〇五年の七カ月間累計で貿易黒字は二四〇億ドルを記録している。これが政治危機にも関わらず経済が安定している理由だ。
 順風はまだある。世界一の高金利政策のため、ヘッジ・ファンドもデリバティブ市場で儲けている。ドルの先物を売り、レアルの先物を同時期で買っている。相殺取引なので現金は入ってこないが、海外資産は確実に増えている。
 〇五年上半期は上昇気流に乗った計数管理飛行であったが、政治空白が続くと下半期が心配だ。一般消費者の八・九%が楽観的見方をしているのに対し、七・七%が政治危機による景気低迷と所得の低下を訴えている。
 ゴールドマン・サックスは、政治危機がもたらすカントリーリスクの上昇で警鐘を鳴らした。メリルリンチも国債の格下げを行った。政治家は寝ぼけているのでまだ情勢の変化が分かっていないが、決してよい兆候ではない。
 最も憂慮すべきは、将来の景気動向を示唆する設備投資の激減だ。フィナンシャル・タイムスがブラジル向け投資は、〇六年の選挙結果にかかるとして景気の悪化を暗示した。中央銀行も経済成長率を下方修正し、景気の悪化を認めた。
 悲観的観測は、〇五年の設備投資が国内総生産(GDP)の二・三%で、〇四年の六・九%を大きく下回ると予測する。この水準は、エル・サルバドルやハイチ並みだというのだ。これは国際経済が順調なのに、ブラジルだけ取り残されていることを意味する。
 ルーラ大統領はブラジルの経済基盤は脆弱だとした。債務がGDPの五〇%以上もあり、過去よりはマシだが決してよいとはいえない。問題は山積している。急務のインフラ整備と税制改革はマヒ状態だ。
 政治危機はまもなく終焉すると大統領が言う。しかし、政治危機が大統領と財務相に及んだら、簡単には終わらない。政治家の汚職対策は難しく、政治危機がもたらす経済の減速は国民の上に重荷となってのしかかる。