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ベストセラー「ヘンな経済学」=汚職は生き残るための知恵?

2005年8月31日(水)

 【ヴェージャ誌一九一六号】「ヘンな経済学」という本がブラジルで発売され、四週間でベストセラーになった。経済政策に失敗したら言い訳を探すための経済学の本という。著者はシカゴ大学のスチーブン・レビット教授。例えば神聖といわれる相撲にも八百長はあるというのだ。
 友人の力士に今日の一戦だけは何とか勝たせてくれと頼まれるとイヤとはいえず、わざと負けてやる。全ての信賞必罰システムに、汚職はつき物なのだと著者は定義する。汚職というシステムはリベートを払うため経費削減と付加価値を生み出し、競争社会を生き残る知恵とも言える。
 汚職もない泥棒もいないユートピアは、生き甲斐も努力する張り合いもなく、不倫も浮気もないアダムとイヴの世界のようなもの。さぞ退屈で、神様がしてはいけないということをしたくなるのも当然だ。
 ブラジル人男女四千万人が、インターネットの出会い系サイトでチャットを行う。相手に自分のプロフィールを知らせる。収入や身長、体重、風貌などウソ八百の情報だ。愛の告白も商取引と同様、事実と宣伝の間に深い谷間がある。
 詐欺や不正行為、違法取引は好ましいことではないが、どんなに取り締まってもなくなることはない。小額の駄菓子を道端に並べ、食べただけ払うように願ったら、食い逃げはほとんどない。小額なら良心が働くが、高額なら話が違う。
 昔、秘密結社があった。秘密であった間は恐れられる結社であったが、知れ渡ると結社は力を失う。政党を創立し党員が少ないときは、よく結束し力もある。党員が増え大政党になると、烏合の衆になり汚職がはびこる。党創立の精神は蒸発してしまう。