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コラム 樹海

 会席料理などによく料理の順番を記した紙の小片(時には立派な和紙もあるが)がついている。最近、仕出し弁当の箱にこの小片が入っているのを見た。「お弁当献立」と記されていた。しゃれていると思った。普通、東洋街あたりの商店で販売している弁当にはない▼献立によれば、「カリフォルニア米秋田小町のおにぎり」「海老具足煮」「春雨サラダ」など十二品目、ごく小さい切り身だが、日本からの輸入品の魚の酢の物、漬物もあった▼さて、食後感想だが、「普通の弁当が出てきた」。弁当ならこれくらいのを食べたいと思っていたが、そういうのに出会った、というあたりである。弁当が、商店街に並び出したころと比較すればかなり進歩した(これは一説には、デカセギが貢献したというのだが)とはいえ、大半の弁当は美味しいとはいえない▼アンショーバやサーモンの塩焼きは生臭さが抜けていないし、肉類のカツレツは油過多で、さっぱり感がない▼市販弁当は、毎日食べている人は別にして、一般には非日常感が楽しい。特に、まめに台所に立っている主婦には「どんな?」といったある種の期待感がある。家庭での皿や茶碗を使わない、割り箸で食べる「よその食事」。家の献立内容と違えば違うほど、関心も深まる▼また、食べてみたいという客が増えれば、つくる業者の商売も繁盛しようというものである。冒頭に書いたような弁当が、競争で市販されるようになれば、弁当産業そのものも充実していくに違いない。(神)

05/08/31