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駐車料金は条件付き無料=ショッピングセンター対象=州議会、条例案を満場一致で可決

2005年9月2日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】サンパウロ州議会は三十一日、州内のショッピングセンターの駐車料を条件付で無料とする条例案を満場一致で可決した。
 新条例は利用客が駐車料金の十倍以上の買物をして販売伝票(ノッタ・フィスカル)を提示すれば六時間内は無料となるもの。この可決を受けたアウキミン知事が拒否権を発動するか、承認するか、裁可に施行がかかっているが、同知事は議事録を見た上で、法律を優先するか、市民の有益性を重視するか決めたいとの態度を示した。
 この背景には、六月のサンパウロ市議会で同じ議題が審議され、一時間内に限り無料とする条例案が議決されたにもかかわらず、セーラ市長が商業の自由と権利を束縛するもので違法とみなし、市長拒否権をもって拒否裁決したいきさつがあるため、州知事は裁可に慎重をきたしている。
 新条例は利用客に賛成の拍手で歓迎されているものの、ショッピング側では猛反発している。いわく、セーラ市長の見解を楯に違法だとし、駐車場はショッピング内の営業の一部門で利益を上げるのを目的としており、駐車無料となると経営を維持するためテナントの商店から月決め料金を徴収する破目になる。テナント商店は出店の折の契約書に反することで、これに応じる道理はなく、係争のもとになるとの見方をしている。
 いっぽうで、駐車料は現在四レアルだが、ショッピングで大量に買い物する階級がわずかこれ位の金は何とも思わないという極言も飛び出している。国内ショッピング協会では州政府と折衡を始めたことを明らかにした上で、本件は根深い歴史があり再三俎上に登っているが、一九九七年に連邦裁判所が自由営業として認める判決を下していると強調する。自分の家のガレージを当局が何ら規制する権利はないはずで、ショッピングもこれと同様だと主張している。
 いっぽうで動議提出者のジルソン州議(民主労働党=PDT)は、商店が販売伝票を発行することで商品サービス流通税(州の収入となる)が増えて脱税取締りにもなり、一石二鳥だと鼻息が荒い。また利用客は買い物以外にも軽食や食事などで駐車料の十倍の四〇レアル以上を費やしており、ショッピングは十倍といわず二十五倍にしても採算は取れる筈との見方をしている。
 片や何億レアルの不正資金でモメている国会、片や四レアルの駐車料で論争しているサンパウロ州議会、果していずれも決着はどう着くのだろうか。