2005年9月2日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】排気ガスによる大気汚染防止に向けて、アメリカとブラジルの巨頭都市が二人三脚で取り組んでいくことになった。アメリカはカリフォルニア州、ブラジルはサンパウロ州で、共に経済規模を含む国内最大の第一都市。カリフォルニア州はハリウッド映画スター「シュワちゃん」の愛称で人気抜群のシュワルツェネガー知事、サンパウロ州は、本職が医師で地道な政治家ながら来年の大統領選挙に向けて支持者を増やしているアウキミン知事で、この両者が公害防止でスクラムを組むことで合意に達した。
これに向けてカリフォルニア州ロイド環境長官が先週来聖して事前打ち合わせを行ない、合意書を作成する手筈が整った。そもそものきっかけは、カリフォルニア州知事が独自に同州内での公害規制を発表したのに対し、サンパウロ州知事が賞讃の手紙を送ったことにある。サンパウロ州知事はこの中で、京都議定書にとらわれず、かつ経済成長の障害にならない規制に大いに期待しているとしたためた。同知事は両州の提携でそれぞれの長所や利点を引き出すことを目的としている。
京都議定書では先進国に対し、二〇一二年までに一九九〇年のガス放出量の五%削減を義務づけた。これに対し、アメリカのブッシュ大統領は経済成長の妨げになると反発、これを拒否した。また開発途上国は、公害より経済成長を優先すべきだとの立場を強調した。ブラジルもこれに追従し、拒否の態度を明確にしている。
カリフォルニア州の公害規制は向こう五十年間を視野に入れたもので、公布はブッシュ大統領も絶賛している。当初は二〇一〇年を目途に二〇〇〇年並みの大気汚染の状態に戻す。その後十年間で一九九〇年並みとする。さらに二〇五〇年までに一九九〇年のレベルの八〇%にまで引き落とすというもの。経済に支障を与えることなく規制を浸透させるのは至難の業で、市民の協力なくしては不可能と言える。
これについてロイド長官は、カリフォルニア州民の八〇%は公害に憂慮し対策を訴えていることから、規制には協力してくれると楽観視している。同州は人口三千五百万人、自動車保有台数二千四百万台、単独で世界六番目の経済規模で、世界十番目の排ガス放出量となっている。二〇〇二年には四億九三〇〇万トンの炭酸ガスを排出した。これはブラジル全国の三分の一に相当する。
さらに同州では規制を表明している他十州とも連携していく方針を打ち出している。規制を表明したのは東部が主で、ニューヨーク州は向こう十五年間に最高一〇%の削減を目標に掲げている。サンパウロ州はカリフォルニア州と合意することで、これの他州の情報も得られることになる。
ロイド長官は公害の最大の原因は自動車の排気ガスだと指摘した上で、ブラジルのエタノール技術の導入を検討するとの意向を示した。さらに炭酸ガスを吸収する植林の奨励と太陽エネルギーの活用を推進していくとの考えを明らかにした。同州では二〇一〇年までに百万世帯に太陽熱装置を取り付けるプランがある。同長官は企業や大学などとの共同技術開発が不可決で、このための予算の上積していく方針を明らかにした。