2005年9月3日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】下院倫理審議会は一日、ジェフェルソン下議(ブラジル労働党=PTB)の議員権はく奪を満場一致で決定した。同下議の異議申し立ては、十三日の下院本会議で行われる。さらに郵便局と裏金両CPI(議会調査委員会)が指摘した、ジルセウ前官房長官やクーニャ前下院議長などを含む十七人の下議についても、議員権はく奪審議が行われる。CPI報告は、被疑者の処罰が全国民の叫びとなった今、後戻りのない既定事実とみなされている。裏金の告発以来、八十七日目に国会がようやく動き出した感がある。
下院本会議は十三日、同下議の議員権はく奪を無記名で表決する。最終決議には、過半数の二百五十七票以上が要る。下院倫理審議会は引き続き、ジルセウ前官房長官とマベル下議(自由党=PL)の議員権はく奪審議をPTBの要求により公開方式で行う。
ジェフェルソン下議の通告通り、労働者党(PT)首脳部を地獄への道連れにするのか、白洲への行列が動き出したようだ。同下議に対する下院の審議日程については、議長が二日の間に下院の表決手続きを行う。同下議の議員権はく奪が可決されると八年間の政治活動が禁じられ、いかなる控訴も認められない。
発端は連立与党ぐるみの裏金疑惑が明るみに出るにつれ、ジェフェルソン下議を人身御供とする動きが政府内にあったことだった。同下議はPTの策略に逆上、裏切り者を突き出してわが身を守る考えに変えたらしい。失策は、大義より仇討ちが先んじたためと言えそうだ。
事態がここまで進展した以上、議員権はく奪はやむを得ないが、生命の危険を賭してブラジルの膿を搾り出した勇気は賞賛に値するという意見もある。ただ自分の業におぼれたという。
当の同下議は、十三日の下院本会議での異議申し立て準備に没頭している。今度はルーラ大統領に向けて砲口が火を吹くらしい。誰も無傷では済まないという。同下議は倫理審議会の決議前夜、PTB全党員を招き遺訓を述べた。確かにPTから四〇〇万レアルを受け取ったが、その責任は取らないと宣言した。
四〇〇万レアルは、誰にも配布せず領収証もない。これまで手をつけずに置いてあり、時限爆弾として使うというのだ。下院には、同下議の心意気に感じる議員も多い。与えられた二十五分の抗弁時間で、下院をひっくり返すという。同下議は全国民にブラジルの恥部を問うのだとしている。
一方、議員権はく奪審議の俎上に上がったジルセウ前官房長官は、CPI判断は証拠もなく銃殺刑に断罪するものだと糾弾した。立証のない判決は、政治的暴力であると非難した。CPI報告は単なる報告書に過ぎない。そのまま倫理審議会で表決されるなら、弁護の機会も与えず撲殺する人民裁判であるという。
裏金疑惑で連座させられたクーニャ前下院議長は、立場上買収される理由がなく、党籍移動もないと一切の裏金関与を否定した。妻が受け取った五万レアルは、党が依頼した出口調査の費用であり、受取り窓口がルラル銀行ブラジリア支店であっただけのこと。裏金享受ではないと前下院議長は抗弁した。