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聖総領事館で2千突破=在外選挙が終了=8公館計2千8百票=5回目、投票数伸びる

2005年9月6日(火)

 第四十四回衆議院総選挙在外投票の受け付けが三日までに国内八つのすべての公館で終わり、投票者数は計二千七百九十六人と、昨年参院選の二千六百九人を百八十七人上回ったことが五日、分かった。「海外最大の票田」とされるサンパウロ総領事館では、昨年より百二十四人多い二千百二十三人が投票。同総領事館を訪れた人の中には、子供の頃に移住してきた高齢一世や日本国籍も持つ二世、車イスで駆けつけた人、近郊から一家で来た家族など――有権者の多彩な姿が見られた。
 一九九八年の公職選挙法改正で衆参の比例選に限り認められている在外選挙もすでに五回目。
 自民党と民主党の「政権選択」や、小泉改革の是非を問う解散選挙への関心も手伝って、サンパウロ、ベレン、クリチーバ、ポルト・アレグレの各総領事館で、投票者数を伸ばした。
 トップのサンパウロに続いたのが、ベレン総領事館の百四十九人。来年一月からクリチーバ総領事館の出張駐在官事務所となるポルト・アレグレ総領事館では前回(七十六人)比二倍増の百四十五人を記録した。
 最大の日系社会を抱えるサンパウロ総領事館は八月三十一日からの四日間で二千百二十三人を数えた。
 五百七十五人→五百八十八人→四百七十九人と推移、最終日には四百八十一人が投票に訪れ、昨年参院選で実現できなかった「二千人の壁」を二回目の公館投票で突破した。
 同館管内の邦人数は約五万六千人で、選挙人登録者は昨年の一万千百六十五人より二百七十五人多い一万千八百八十人。
 このうち七五パーセント・約八千九百人が百キロ圏内に住んでおり、公館投票できる条件下にあるとみられる。その場合の投票率は二三パーセントとなった。
 しかし、中には郵便投票を選んだ人や、「想定外」の百キロ以上離れたレジストロやグアタパラなどから投票に訪れた人もいるため、参考程度の数字に過ぎない。
 また、前回選挙は投票期間が九日間と長かかったうえ、海外邦人として初めて日本の選挙に出馬したミチオ高倉さんが大きな関心を集めた。これに対し、今回は期間も五日短く、日系社会内での広報の機会も少なかった。その割には、投票者数が伸びた感が強い。
 サンパウロ総領事館の沖田豊穂領事(日系社会班)は「興味深い結果。分析に値するもの」とし、「前回の経験を得て、多くの方がぜひ投票して日本の政治に参加しようと意気込みが伺えた。遠隔地からの投票者がいたことや、スムーズに投票できる体勢が整っていたことも大きいのでは」と話している。
7歳で日本を離れて 漢字分からない2世
 投票最終日の三日、サンパウロ総領事館で一票を投じた人の顔ぶれは、多彩だった。
 七歳で日本を離れ、サンパウロ市在住の七十歳男性は「昨年来伯された小泉首相と握手する機会に恵まれた。自民党にはぜひ頑張ってもらいたい」と話した。
 サンパウロ市近郊エンブー市から来た六十四歳の女性は二世。「投票は初めて。日本にいて働いていたこともあるから。日本の政治はTVで見ている。いまは娘もいるし」
 投票で困ったのは、政党名の漢字。読めないし、書けない。日本語の読み書きが不自由な人を助けるため、会場内で待機していた代理投票補助者に頼った。
 佐藤光恵さん(75)、佐藤勝子さん(72)も二世、サンパウロ市ヴィラ・カロン区に住んでいる親族同士だ。「あまり日本のことは知らないけど、小泉さんを少しでも手伝いたい」と、光恵さんはきっぱり。小泉人気の「賞味期限」はブラジルではまだ有効のようだ。
 また、ほかの二世女性(66)は、「PLD」と書いたメモ用紙を持参してきていた。ポルトガル語の新聞で日本の政治事情を知り、投票を決めたという。自由民主党のことだ。
 夫人に付き添われて、車イスで投票に来た服部勇さん(65)は、近郊グアルーリョス市から。
 「弟が日本にいる。絶対来たかった」
 家族四人で投票する姿が目立った小藤典男さん(58、高知)一家。八十キロ離れたサントス市に住む。
 ブラジル生まれの和歌子さん(25)、憲邦さん(31)を見ながら、「これからもずっと投票して欲しいね」と話していた。