ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 「投票したら何かいいことがあるの?」。この問いに答えられなければ、残念ながら、在外投票の投票者数は伸びないかもしれない▼今回の衆議院議員選挙も投票者数、投票率、ともに低調だった。前回の参議院議員選挙のときより、ブラジル国内八公館の登録者総数は微増したものの一万四千五百七十二人。日本国籍保有者を六万人とすれば、「たった、これだけ」と言いたくなる数字である。投票者数となると、もっと、お寒い。二千七百九十六人で、登録者比一九・一%▼前回、国内で最も高い投票率五四・二%を記録したポルトアレグレ総領事館管内は「総領事館が閉鎖されないように」ということで、陳情運動をしよう、そのために選挙人登録をしよう、投票に行こう、の動きが盛り上がった。その後、閉鎖は正式に決まった(今後、領事出張駐在官事務所は置かれるが)。しかし、運動が終わっても、今回も投票率は高かった。八公館中第一位の四九・八%▼日本政府の構造改革・支出削減の一環で総領事館が閉鎖されるのだが、それは「正義」なので、有権者たちとしても、流れには逆らえない。投票率を上げても、大勢は変わらないので、心中複雑なものがあるだろう▼ポルトアレグレの例にみるように、投票の目的があれば、意欲は高まる。「日本国民だから」というだけの理由で、高まればもっと望ましい。票数の多さ、高投票率を示せば、初めて「ブラジル在住者は民度が高い」という評価につながると思われる。(神)

05/09/07