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貧富の格差大きいブラジル=生活環境は世界63位=国連HDIは2年連続横ばい=富裕が総所得の半分

2005年9月9日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】国民の生活環境や位置付、人間形成などを示す、国連が設定する人間向上指数(HDI)で、ブラジルは今年生活環境の質はいくばくか向上したものの、未だ先進国の仲間入りをしていないことが明らかになった。世界ランキングでは二〇〇三年の六十五位から昨年と同じ六十三位を維持したものの、所得の貧富の格差では最悪グループの一つに挙げられている。

 国連が国民の所得、教育、健康を基に算出するHDIでブラジルは昨年の〇・七九〇ポイントから〇・七九二ポイントとわずかに上昇し向上を見せたものの、世界の調査対象百七十七ヵ国中、六十三番目と昨年と同じ位置付けとなった。この位置はマレーシアとロシアに準じ、ルーマニアと同レベルとなった。いっぽうで所得による貧富格差では最下位八ヵ国の中に入りレソト、ナニビア、スアジランドなどのアフリカ諸国並で、中南米ではわずかグアテマラより優位になった。
 HDIは、平均寿命、文盲率および就学率、人口当たりの平均所得を主な基準として算出され〇から一までのポイント数を表示する。〇・四九九までは低水準、〇・五〇〇から〇・七九九までは中間水準、〇・八〇〇以上は高水準に分けられている。ブラジルは〇・七九二で中間水準だが、ジウマ官房長官は「現在の経済成長と、政府の社会福祉政策で、〇・八〇〇以上の高水準の仲間入りするのは時間の問題だとの見方をしている。
 しかし、向上のためには貧富の格差の是正が不可欠だと指摘されている。ブラジルの一〇%の富裕階級が国全体の所得の約半分の四六・九%を占めているのに対し、五%の貧困階級の所得は全体の〇・七%にしか過ぎない。比較の一例をあげると、人口当たりの平均所得がベトナムの三倍にもかかわらず貧困層の最低所得者はベトナムのそれと変わりがない。いっぽうで貧困層の二〇%のGDP(国民総生産)のみを取り上げるとHDIは五十二ランク下げ、百十五位のホンジュラスやボリビアと同指数になる。
 ランキングのトップはノルウェーで指数〇・九六三で平均寿命は七九・四歳で、子供らの一〇〇%は就学しており、文盲率はゼロとなっている。逆に最下位はアフリカのサハラ砂漠地帯のナイジェルで指数〇・二八一で人口の三分の一が飢えで、死亡寸前にあり、十年前のスーダンやエチオピアの二の舞の惨状となっている。この国の平均寿命は四十四歳で、七人に一人は文盲、就学率はわずか二一%となっている。
 ランキングの上位十ヵ国は二位以下、アイスランド、オーストラリア、ルクセンブルグ、カナダ、スイス、アイルランド、ベルギー、米国で、日本は十一位。下位グループは下からナイジェル、セーラ・レオラ、ブルキナ・ファッソ、マリ、シャーデとなっている。中南米ではアルゼンチン(三十四位)、チリ(三十七位)、ウルグァイ(四十六位)、メキシコ(五十三位)、パナマ(五十六位)、ブラジルの下ではコロンビア(六十九位)、ベネズエラ(七十五位)、ペルー(七十九位)、エクアドル(八十二位)、パラグアイ(八十八位)、エル・サルバドル(百四位)、ボリビア(百十三位)、グァテマラ(百十七位)となった、中でも注目されるのは南アフリカ諸国が一率に指数を下げていることで、これは過去二年半にわたるエイズ蔓延による死亡が増加したことが原因となっている。