2005年9月10日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】議員食堂経営者のブアニ氏は八日、営業契約の更新でカヴァウカンチ下院議長に一二万レアルをゆすり取られたとする供述を連邦警察で行った。同供述によれば、契約更新が容認されたとき、「泣き言をいうな。まだ三年安泰なのだ。毎年二万レアル持って来い」と第一書記であった下院議長に言われたという。三年分の六万レアルは四万レアルに引き下げたが、毎月一万レアルのリベートを要求された。毎月二千レアルにしてくれと泣きついたが、聞いてもらえなかったと供述した。
ブアニ氏の供述は、下院議長を微妙な立場へ追い込んだ。下院議長は二〇〇三年一月まで、下院第一書記の任にあった。しかし、リベートは毎月、一万レアルを〇三年九月まで受け取った。リベートは現金で本人または秘書に渡し、一回だけブラデスコ銀行の小切手で支払ったと供述した。
下院議長は常に告発を全面否定したが、〇五年一月までの入札抜き契約更新のサイン料として一年に付き二万レアルを要求したという。三年分の合計六万レアルは、値切り交渉の末四万レアルで決着。しかし、〇二年十二月、契約はもう一年延長で打ち切りと第一書記が通告して来た。
ブアニ氏は「おれは、ゴキブリじゃない。ハナシが違う」と迫った。第一書記は「落ち着け。わしがここの主である間、安心してよい。オマエさんとケンカをするつもりはない」と応じた。このヤリトリは値切りに応じないことを意味し、営業継続ならリベートの見直しという要求だ。
次に裏金要請の話があった。毎月どの位協力してくれるかと、笑顔で打診した。毎月二千レアルと答えると「ふざけるんじゃない」と一喝された。
八日の連邦警察におけるブアニ氏の供述は弁護士の教唆によるもので、これまでの供述内容とは異なる。リベート供与を否定した同氏が態度を一転したのは、時間稼ぎと動向を見守るための策略と思われる。
下院執行部は十二日、下院議長の要請でリベートに関するブアニ氏から事情聴取を行う。執行部はブアニ氏が交わした契約書の合法性のみを検証し、リベートの有無には触れない。十二日の執行部会議は下院議長の圧力下に行われ、宗教裁判のような雰囲気が予想される。
ブアニ氏の手が届かない所、元支配人らから数々の証拠物件やファイルが提出された。ブアニ氏は上院と下院で複数の食堂やスナックを経営し多数の従業員を抱えているため、無事営業を継続したいと思っている。しかし、事態は思わぬ方向へ進んでいる。
ブアニ氏は穏便作戦がもはや不可能と見て、防御から毅然とした態度へ考えを変えたようだ。連警の次回召喚では、下院議長にリベートとして払った小切手の控えを提出する考えだ。同議長が同日、銀行から引き出した証拠もある。
ブアニ氏はカヴァウカンチ下院第一書記によって窮地へ追い込まれ、ゆすられたのだ。ブアニ氏の贈賄行為は選択肢がなかったことによる苦肉の策で、刑法でも情状酌量の余地がある行為と弁護士は説明した。