六十五歳で試験を受け、弁護士になった伊木実信さん。現在は八十六歳にもなるという。一九三一年にアリアンサ移住地に入植し、「パパイの希望であった」という果樹園の経営をした。しかし、同地は蟻が多く、果樹園には不向きだったため、ペレイラ・バレットに移住した。
ポルトガル語を夜間学校で勉強しながら、農業に従事した。その後、「弁護士になりたい」という夢を持ちつつ、チエテ産業組合の理事を三十年も務めた。家庭にも尽くし、やっと落ち着いたと思った頃には六十歳を過ぎていた。
しかし、「成せば成る、成さねば成らぬ何事も」と一所懸命勉学に励み、一般的には「もう年だ」と言われる六十五歳の年齢で夢を形にした。
歳を重ねただけで人は老いない。夢を失った時に初めて老いる、というどこかで聞いた言葉を思い出した。 (南)
05/09/10