2005年9月13日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】外遊日程を早めて帰国したカヴァウカンチ下院議長は十一日,食堂経営者ブアニ氏が同議長からリベートをゆすられたと訴えた、入札抜きの食堂契約書の証拠書類はねつ造であり、圧力に屈して下議を辞任する意向のないことを明らかにした。証拠書類は電子技術による巧妙なサインねつ造だとするペルナンブコ州鑑定人の鑑定書を提示し、側近らをも驚かせた。同議長の弁護士によれば、連邦警察もサインねつ造を認め、告発に対し抗弁の要はなく鑑定書が決め手になるとしている。
記者会見に臨んだ下院議長は、喧嘩を受けて立つと宣言した。野党が束になって議員権はく奪工作に挑んでも、意に介しないという。議長職の任期は全うするし、告発の根拠となった証拠書類は巧妙に創作したものと糾弾した。
ねつ造書類に踊った報道陣も野党と同様に断罪するという。週刊誌ヴェージャに掲載された書類は、鑑定の結果ねつ造であると判明したと強調した。リベートを支払ったという小切手も存在しないと同議長は強気発言を行った。
国会内に東北出身者に対する偏見があることは否めないと同議長はいう。少数の東北出身者による議会指揮に対する抵抗が感じられるという。上下両院とも東北出身の議長が采配を振るっているが、議長を陥れるために数々の罠が仕掛けられているのも事実と訴えた。
下院議長の記者会見は、ヴァグネル総務局長の指導で行われた。同議長は政府与党と戦略を打ち合わせ、大統領府の全面的支援を取り付けた。議長公邸は顧問弁護士や役つき党関係者でゴッタ返した。
議長に対するリベート告発で時の人となったブアニ氏は、同議長の反発を笑い草と評した。一介の食堂経営者が下院議長を相手にねつ造書類で喧嘩を挑むかどうか、考えただけでも滑稽だという。同氏の前で議長がサインをしたのは事実であり、同議長は鑑定書を作らせることも可能な立場にある。
ブアニ氏は議員食堂の経営から手を引く意向を発表した。リベートをたかられてまで食指の動く商売ではない。ただ下院議長が同氏をいびった悪癖に対しては報いると誓った。リベートの小切手が引き落とされたのは九月六日、議長の運転手によってであった。
書類はねつ造だとした鑑定人は、アダマストル・N・オリベイラ氏で議長の同郷人だ。しかし、書類原本を鑑定したものではない。下院議長は二年前、心臓の手術を行ってからサインの癖が変わったと顧問弁護士が言っている。手術前後のサイン鑑定については、詳細な説明がない。
一方、下院議長の追放攻勢を不変とする野党は十三日、下院倫理審議会へ同議長の議員権はく奪請求を行う。野党は下院議長が下院を私物化していると、十四日予定のジェフェルソン下議の判決審議も含め今週の国会は大荒れのようだ。議員権はく奪の対象とされた下議十八人の審議阻止に向けても、下院は罵詈雑言の応酬が予想される。