2005年9月13日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日、十一日】サンパウロ市地裁は九日、連邦検察庁の要請を受けて、マルフ元サンパウロ市長とその長男でエウカテックス社のフラビオ社長に対して金融法違反などの疑いで逮捕状を発行した。
裁判所の決定を知った元市長は静養先のカンポス・ジョルドン市の別荘から急拠帰聖し、十日未明にサンパウロ市の連警本部に任意出頭した。フラビオ容疑者はアララクアラ市の農場から十日午前にヘリコプターで帰聖、サンパウロ市に到着した時点で連警に手錠をかけられて同本部に連行された。
連警では外為法違反、外国での違法口座開設、不正送金、資金洗浄などの金融法違反および汚職に関連した犯罪組織の結成の容疑で取調べるため、連警本部の留置場に身柄を拘束した。元市長と家族は以前から外国への不正送金の疑いが持たれ、これまでに数度当局の取調べを受けていたが、逮捕に至ったのは今回が初めて。
連警では不正送金を担当していた為替業者いわゆるドル商人と呼ばれる通称ビリグイを外為法違反の別件逮捕で取調べた結果、元市長とフラビア容疑者のドル不正操作の証言を得た。これを基に両容疑者が口座を開設、利用していたニューヨーク市のサフラ・インターナショナル銀行の口座開示と調査を同市マンハッタン区の検察に依頼していたところ、これまでに一億六一〇〇万ドルが動いていたことが判明した。これら証言と報告を受けてから三カ月間、連警は両容疑者の毎日の行動をビデオに収めるなど、尾行による密着捜査ならびに通話を録音した結果、犯罪を立件できるとして起訴を決め、逮捕状を申請したもの。
このほか、通話記録で元市長が市内整備のための工事で水増し請求をさせて見返り資金を受領していて、その証言のもみ消しを画策していたことも明らかになり、検察では逮捕者は複数に及ぶとみている。
両容疑者の弁護団は、逮捕を不当とし、保釈を申請した。またドル商人の証言は、別件の罪状について証言することで罪の軽減ができる司法取引を狙った虚偽だと主張している。元市長は拘置所から声明文を発表し、「国会でのスキャンダルから国民の目をそらすための煙幕に、連警が仕組んだものだ」と糾弾した。これに対し議会調査委員会(CPI)のメンバーは「元市長は煙幕になり得るほど重要人物ではない」とせせら笑っている。