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経済は足が地に付いた=スノー米財務長官、ブラジルを分析

2005年9月14日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】スノー米財務長官は航空関係の投資顧問会社の経営者であった往年、ブラジルの航空システムへの資金投入を検討するため初めて訪伯したことを回顧し、「ブラジルのパワー」と題する書簡を寄せた。
 機上から見るアマゾン川は、ブラジルの未来を象徴している。緩やかにゆったり流れる大河、生産物を港湾へ運ぶハシケの群れ、ブラジルは豊かな富を生み出して貧困を征服し、無限の可能性を秘める国である。
 同長官は八月、再度ブラジルを訪れた。健全財政に根ざした経済政策を打ち立て、グローバル経済にシフトした様子を見て感無量であったという。活気溢れる輸出産業の成長は経済の基本だ。ブラジルの持ち味をよく生かしている。
 二〇〇五年上半期の輸出は、昨年同期比で二四%増。〇四年の経済成長率は四・九%、過去十年間で最高率であった。経済成長は国民に雇用と所得をもたらす。経済が活気を取り戻すと、ローンの道も開け商品とサービスを入手し、国民の生活水準が向上する。
 この面の経済効果は見るものがある。ブラジル経済は足が地に付いている。三年前、金融危機に見舞われ国際信用が失墜したブラジルを覚えている者は少ない。経済不安や困難な財政再建の原因となった公債は、徐々に清算している。
 ブラジル経済史の妖怪、インフレは過去のものとなりつつある。〇三年の一七%を峠として、沈静の方向にある。現在の年間インフレ率六・五%は理想的状態であり、あとはブラジルの実力次第といえる。
 同長官によると、世界を旅行して言えるのは、民間の活力がグローバル時代の決め手だということ。全ての公団や政府系サービス企業は民間に委ね、民間の力を起用することで新しい時代の命運が決まると見る。民営化に反対する時代の遺物は自然に淘汰される。
 政府の役目は、新しく起業する中小零細企業の経営環境を整えること。ブラジルにはリスク投資への意欲とダイナミックなエネルギーが満ちている。地方自治体にも未来のヴィジョンに燃えている都市がある。財政改革へ前向きに取り組み、民間の投資意欲を引き出している。
 同長官は、訪伯を伯米両国の合弁推進で両国企業家を覚醒させるよい機会と述懐した。伯米両国はグローバル・パースペクティブ(世界的視野)で経済発展について話し合う必要がある。農産物の一点に絞らず、経済成長と投資増大、生産的インフラ整備、研究開発、イノベーションの多面的見地で考察すべきだと強調した。