2005年9月15日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】裏金疑獄を告発したジェフェルソン下議(ブラジル労働党=PTB)は十四日、下院本会議で議員権はく奪表決の白洲へ引き出されることになった。同下議は表決に先立ち、ルーラ大統領を始め労働者党(PT)政権と政府首脳部に対し、忌憚なき抗議演説「純ニトログリセリン」を振舞うと通告した。国会は、同下議を議員権はく奪第一号の人身御供にそなえることとなりそうだ。四カ月にわたったジェフェルソン旋風もいよいよ本番を迎える。議員権はく奪は、規定により二百五十七票以上の賛成票を要する。
同下議は玉手箱を開けるという。ルーラ大統領を含め、大統領の影武者らを煙に巻くらしい。裏金の真相について、PT政権の赤裸々な実態を白日の下にさらすと通告した。野党は下院議長による議事ボイコット戦略を撤回、最終審議の本会議出席を約した。
同下議の告発旋風は、次のような爪痕を残した。官房室からジルセウ前官房長官を引きずり出した。グシケン広報長官を丸腰にした。これで大統領府は武装解除も同然となった。
ジェンロ教育相は面目丸つぶれ、党内の勢力闘争にも敗れ、不遇をかこつ。無関係のメンドンサを引きずり込み、CPIで泥を吐かせた。PTをかく乱し、ジェノイーノ党首とペレイラ事務局長、ソアレス財務担当、セレノ広報次官、ミナスとバイア州のPT支部長を引きずり降ろした。
公社では郵政公社総裁とエレトロノルテ電力公団総裁、ブラジル再保険院総裁、造幣局総裁が更迭された。国家情報局のマルセロ長官や伯銀のピゾラット理事などを含む公社の部長三十人が更迭された。
議会では、連立与党を解体した。進歩党(PP)や自由党(PL)、PTBは屋台骨をガタガタにされた。下議十八人が議員権はく奪リストの俎上に乗せられ、二人は早々に退散した。
今度は大統領の番だという。矛先が大統領に向けられても、インピーチメント(弾劾罷免)に至った場合の手は打たれているらしい。すでに、その道のプロがブラジル入りしている。同下議は下野したら、歌手稼業を送るとジョークをとばした。
同下議に代わって記者会見に臨んだ息女は、十四日の本会議は父の政治生命を賭けた関ヶ原だと述べた。PT政権は怨念と遺恨の政治団体だという。もはやPT政権は生ける屍で、死臭が漂うと糾弾した。同下議がやり残したのは、年金基金だけとなった。
息女の弁明によれば、同下議が告発したのは裏金の受給ではなく、PT政権の政治手法だったという。下院議長がリベートを享受したか否かは、全く興味がないと述べた。議会政治が支持票の買収で左右されるのは問題だとした。議員権はく奪表決は、問題の焦点をすり変えている。
同下議が議員権をはく奪されると、二〇一五年一月まで政治活動はできない。現在は五十二歳だから二〇一六年の地方選挙では、六十三歳になる。やる気があれば、まだ十分やり直しができる年齢である。コーロル元大統領の特殊部隊メンバーとして政界入りしたのが、同下議の政治家一年生であった。