2005年9月16日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】下院本会議は十四日、ジェフェルソン下議(ブラジル労働党=PTB)の議員権を表決の結果、賛成三百十三票、反対百五十六票ではく奪した。同下議は告発を証明する物件を提示しなかったことで、下院倫理審議会が議員権はく奪対象とした十八下議の追放第一号となった。同下議は表決に先立つ抗議演説で、労働者党(PT)政権は二十三年の政治生活で最悪の汚職政権であったと酷評。同下議は現任期が終了する二〇〇七年二月から八年間、政治活動が禁じられた。
同下議の議員権はく奪表決は、必要票二百五十七票を五十六票も上回った。カヴァウカンチ下院議長の本会議欠席で、議事はノノー副議長が仕切った。同下議は、議会は見せしめに内臓をえぐり出して全員にさらすのが慣習で、予想したことが起きただけという。敗北は事前調査で知っていた。自分は返り咲くと支援者に送別の辞を述べた。
表決に先立つ抗議演説では、PTは裏切り者と偽善者と仇同士の集団だから不仲でいつももめているとした。ルーラ大統領は生来怠け者のペテン師で、政治のセも知らずに政権を獲得した。無能な乾分に権力を与えたから、うろたえるだけで政治が分からない。政権首脳部は、飢えたねずみであると批判した。
PT政権は管理売春を経営するヒモたちの集団で、国会議員に売春婦を斡旋するポン引きだと揶揄した。大統領は、置き屋の女将にジルセウ前官房長官を任命した。同前長官は国会議員にお茶を一杯差し上げ、女を宛がうブラジル版ジャニー・メリー・カーナーだと皮肉った。ジルセウ前官房長官が指揮した議会対策は、全てこのレベルの手法であったと糾弾した。
PTは兄弟殺しに匹敵する同志の粛清を党是とすることで、従来のブラジルが想像する政党とは異なると警告した。以前、汚職は対岸の火事で、こちらへ飛び火しないかを心配した。しかし、PT政権では大統領府にヴァレーリオという火種を持ち、いつでも火事は内部から起こしたという。
ブラジルの政治には、倫理もモラルもない。赤信号、みんなで渡れば怖くない。PTは党ぐるみで汚職を敢行したと同下議は訴えた。ブラジルの不文律「悪事は集団でやれ。一人でやるな」を実行した。
同下議は、矛先を同下議の追放上程者カルネイロ下議(自由前線党=PFL)へ向けた。ブラジルで最も徳の高い上程者に苦言を申すという。前官房長官が、一万六千人の公務員を採用した。その中に、バイア州フェイラ・デ・サンターナ市で上程者の選挙運動員を務めた同氏の従姉妹がいた。官報によれば、PTのブタだ。同下議の追放上程者が、ブタの従兄弟であるとは同州では衆知の事実と下院で暴露した。
下院で繰り広げられた同下議の追放劇は、ブラジル中の愁眉を集めた。猫の首に鈴をつけようとした同下議は、政府の策略通りに葬られたのか。政治の恥部を糾弾したジェフェルソンは英雄か悪党か、国民が判断を下すと思われる。