ホーム | 連載 | 2005年 | デカセギ教育=シンポジウム | デカセギ教育=シンポジウム=連載(1)=「研究」から「行動」起こすべき=20人が最近の状況報告

デカセギ教育=シンポジウム=連載(1)=「研究」から「行動」起こすべき=20人が最近の状況報告

2005年9月17日(土)

 デカセギ子弟の教育問題をメインテーマにした伯日比較教育シンポジウムが十、十一日の二日間、文協貴賓室で開催され、約二十人の日伯の研究者らが最近の状況を報告し、百人以上が参加した。文化教育連帯協会(吉岡黎明会長=ISEC)と日伯研究者協会(渡部一誠会長)の共催。
 冒頭、吉岡会長は「いろいろな研究が行われているが、そろそろ行動を起こすべき時期に来ている」と呼びかけた。
 最初に州立カンピーナス大学の佐々木マサエ・エリーザさんが「デカセギ二十周年」を総括する基調講演を行った。続いて、USP公衆衛生のイトウ・ルーシーさんが、日本のブラジル人コミュニティでHIV感染者が増えており予防策が必要だ、ブラジル人学校で性病についての啓蒙活動をすべきだと訴えた。
 CIATEの佐々木リカルドさんは、特に日本でブラジル人が婚姻する場合の注意点を述べ、「もっと日本の法律の基本について知ったほうがいい」と勧めた。
 午後の部では、大志万学院の川村真由実校長が帰伯した子どもを受け入れた興味深い経験や、ロンドリーナ大学元教授の藤井岡林エステーラさん(パラナ日伯文化連合会教育センター長)による同地域の状況報告が行われた。
 翌十一日は連邦政府教育審議会のフランシスコ・コルドンさんが在外ブラジル人学校に関する法規制の変遷や現状を説明した。
 さらにピタゴラス校を日本に開設するときに尽力した山中イジドロさん(農務大臣特別補佐官)は、ISECに対応するような日本側のNPO全国教育組織を作ってほしいと要請した。
 現在のブラジル人学校では「教育施設」として日本で認められず、公的支援が受けられないので月謝が高くなる。NPO組織で教育すれば公的支援が可能で費用が安くなる。そのようなNPOでブラジル教育課程を教えるようなアイデア法を提案した。
 最後に話合われた内容を総括した。今後、日本側にも提案していく予定。当日発表された内容の幾つかを次回から紹介する。        (つづく)