2005年9月21日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】リオデジャネイロ州連警本部内の金庫室から、麻薬組織から押収した現金二〇〇万レアル相当が何者かに盗み出された。本部内での盗難事件という前代未聞の出来事に連警当局は困惑を隠せず、事態解明に乗り出した。
連警では先週、二年がかりの捜査の末にグアルーリョス市クンビッカ空港を舞台に暗躍していた麻薬密売組織を指揮していた七人の連警を逮捕したばかりで、度重なる不祥事に当局は怒り心頭に発している。ブラジリア連警長官は十九日、捜査課長を現地に派遣するとともに、「事件の性質はともかくとして、連警の信用を失墜させ、名前を傷つけた行為は許されない」として、徹底解明と同時に責任の所在を問うことを言明した。
盗難にあった二〇〇万レアル相当は、先週十五日にポルトガルに向けた輸出に見せかけ牛肉や内臓の中に隠した一・六トンの麻薬を密輸しようとして逮捕された七人組が所持していたもので、六七万七二三〇ユーロ、六万三二〇四ドル、二万一九〇五レアルが押収された。このほか自家用車二十台、ヨット一台、ピストル一丁も押収された。首領と目される女性企業家はリオ市内でも有名なピザ店を経営、麻薬密輸をカムフラージュしていた。
連警の調べによると、押収された紙幣はプラスチック袋に入れられ、金庫室の棚に無造作に置かれていた。犯人は廊下から二つの扉を壊して侵入、金庫室の鍵を保管している机の引き出しを壊して鍵を取り出し、金庫室に入った。これにより内部事情に詳しい人物の犯行であることは歴然としているが、それ以前に押収した紙幣の保管に問題があると指摘されている。麻薬同様、何故大金庫にしまわなかったのか、あるいは捜査上の常道となっている裁判所名義での銀行一時預りを何故しなかったのかが取り沙汰されている。
リオ連警は内部人間の仕業とみて、とりあえず先週麻薬組織逮捕に動員された五十九人の捜査員を一時停職処分として事情聴取を行うことにした。一部関係者は、リオ連警内での人事などの不満や、ブラジリア本部との確執が噂されており、その不平分子が犯罪をひき起し内部を告発する、かく乱犯罪を試みたのではとみている。ブラジリアの連警長官はこの見方を否定している。